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大皿の上の肉じゃががすっかり無くなって、机の上の皿が全部空になる。
満腹だ。
「よく食べたね。」
「ですね。…あ、もうプリン固まってるんじゃないですか?」
「そうだ。デザートがあったね。」
「明日にしますか?もうお腹いっぱいなんじゃ…」
「ふふ、甘いものは別腹だよ。」
「なるほど…」
小波くんは苦笑しながらも立ち上がってプリンを取りに行ってくれる。
実はあのプリンを作ったことも食べたこともないんだけど。
…多分美味しいはず。
「どーぞ。4人分二人で食べるのでちょっと大きいですけど。」
「立派だね。いただきます。」
大きなカップに入ったプリンにスプーンを入れて口へ含む。
安っぽくて甘くて、ゼラチンの塊みたいな食感。
それでも確かにプリンの味だ。
「うん、甘い。」
「甘いですね。懐かしい味がします。」
「よく食べたの?」
「弟が買ってくるんですよ。その度作って食べたり…プリンってうちの家じゃちょっとした御褒美で。」
「そうだったんだ。俺のとこもそうだったよ。テスト100点取った子とか、何か賞を取った子だけ夕飯につくんだ。」
「へぇ…藍川さんは?」
「あはは、俺は無いよ。マイナス特典の味噌なしの味噌汁とか炊いてないご飯はよく食べたけどね。案外美味しいよ。」
「…すみません。」
…あぁ、少し話すことを間違えたかもしれない。
俺からしたら笑い話なのに彼はそうは受け取ってくれないのを忘れてた。
あの偉い人は腹を抱えて笑ってたからそういう話なんだと思ってた。
仕方なく目の前のプリンを揺らしてみる。
「ん…?」
「あ。」
プリンを揺らすのと同時に机の上の携帯が震える。
この音は二人共知ってる。
5時のアラームの音だ。
「…もうこんな時間だね。」
「そう、…ですね。」
「片付け俺がやっとくから帰っていいよ。」
「いえ。…片付けまでさせてください。」
「いいの?」
君が少しでも長くここにいてくれるのが嬉しかった。
「藍川さん前、片付け自分でしてお皿3枚割りましたよね。」
「ぅ"…」
「その上破片の片付け適当にして次の日俺の足の裏が大変な事になりましたよね…??」
「あはは…そんな事もあったね…」
「俺に任せてください。」
君が俺の何かに痕跡をつけてくれるのが嬉しくて。
君から 離れるのは怖いと思った。
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