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番外編その2続き
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前ページで紹介したみんなの夢が叶った世界を作ってみました。序盤は吉野視点、残りはあくまさん視点です。
パート1(吉野)
僕は吉野。イケメンでひとりっ子の翠くんに恋する高校生。だけど翠くんは僕のことなんて気づいてもいない、切ない片思いなんだ。
今日も屋上でひとり、部活中の翠くんの姿を遠くから眺めてため息ついちゃう。
「ヘイヘイユー!そういうことなら俺が力になってやるよん!」
「誰…ってうわああ変態だ!」
センチメンタルな気分に浸っていたところに、上級生のネクタイを締めた人がセックスをしながら現れた。女の子を抱えて駅弁スタイルですたすた歩いていて、とにかく変態だとしか言いようがない。
「変態?褒め言葉センキュー!フゥゥ!」
「褒めてない!褒めてない!セックスくらい腰を落ち着けてやれ!」
「ふふふ。セックスなのに腰が落ち着くわけないじゃーん!俺ってばマジ半端ない淫魔だからさ、生活の中にセックスを取り入れることに成功したわけ。これで精力奪い放題。サイコーでしょ?」
「えーっと警察って117番だっけ」
「吉野っち!それは時報だ!」
「こら、そこの淫魔!今すぐ変態行為をストップしなさい!」
今度は屋上に先生が現れた。イケメンで授業がつまらないと噂の天音先生だ。
ただしいつもと違って、背中には翼が生えいるし手には弓矢を構えている。まるで…天使みたいな?
「誰かと思えば天使ちゃんじゃん。うぃっす!そんな物騒なもの抱えてどうしたの?」
「お前を退治しにきた。お前は淫魔の最後の生き残りだ」
「あちゃあ、どうするよ吉野っち!」
「とりあえずセックスを中断しましょう」
「いやんむりむり!セックスこそが俺の生きがい!」
「死ね淫魔ー!」
バシューン!
天音先生が引いた矢が淫魔の胸にさっくり刺さった。
淫魔は思わず女の子を放り出し、精子が勢いよく飛び出した。
「やべえやべえ!これ死ぬやつ!」
淫魔先輩は急いで矢を抜こうとするが、びくとも動かず、淫魔先輩の姿が徐々に透明度を増していく。
「あぁ〜マジ無理。天使ちゃんマジつえーわ」
「ふふふ。これで全ての淫魔が消え去る。天使の飛び交う平和な世界の幕開けだ」
「俺は死んでもみんなの心の中で永遠にセックスし続けるんだぜ…!」
「なんだこの展開は…」
淫魔の姿が完全に消えると同時に、一筋の白い液体がびゅーっとどこかへ飛んでいった。
満足そうな天音先生が僕に向き直る。
「さて吉野くん。君は恋に悩んでいるそうだね。偉大なる天使である僕がその恋叶えてあげよう!」
「い、いや、結構です」
「んん?!どうして?」
「な、なんか怪しげだし。今のままで十分ですから!」
「あ、ちょっと!逃げることないでしょ!」
「先生さようならー!」
急いで屋上から逃げ帰る。
外に出ると、グラウンドでスポーツをする翠くんの姿が見えた。
うんうん。僕はこうやってたまに眺めるだけで十分だ。
パート2(あくまさん)
目が覚めたら自分の体が幼稚園のすべりだいになっていた。
わけがわからないが幸せだ。もうすでに幾人もの幼児のふわふわのお尻が体の上を滑っている。こんなのふつうに悪魔をしてたらできる体験じゃない。もう一生すべりだいのままでいたい。
しばらく恍惚としていたのだけど、ふと自分をじっと見つめる園児の存在に気づいた。自分が気づいたことに園児も気づいたかのように、とことこと近づいてくると、にこっと笑った。
「こんにちは、すべりだいさん。ぼくはユキです」
かっ…かわいいぃ!この子すべりだいにあいさつしてる!かわいいよぉぉぉ!
ユキくんはすべりだいのはしごにぴたっと手をつけた。別に普通の行動なんだけど、すべりだいとしてはドキッとしてしまう。
「すべりだいさん、ぼく、すべってもいいかな?」
い、い、で、す、と、も!
言葉が発せられないのがもどかしくて仕方ない。
ユキくんははしごをゆっくりと撫でている。
「すべりだいさんのきれいな体、ぼくが汚しちゃっても大丈夫?」
な、なんか…手つきがエッチじゃないか?
ない唾をごくりと飲みこむ。
ユキくんはついにはしごに手をかけ、一段一段のぼっていく。体重が心地よくかかる。
「ふふ。すべりだいさん、すごくおっきい…。ぼくの体、全部入っちゃうね」
ユキくんがついに一番上まで到達し、腰掛けた。じんわりとした熱を感じてドキドキする。
すると突然、ユキくんが俺に口づけた。
「んっ…えへへ。ぼくのものになった証だよ。ぼく以外の子が何人すべっても、すべりだいさんはぼくのものだからね!」
ひゃああ何このご褒美。生きててよかった…。
「じゃあ…すべるよ?」
やっ…待って。そんな急にすべったら、あっ…ああぁんっ!
ふあっ…ユ、ユキくん?そんなっ、今度は逆からのぼってくるなんて、俺、どうにかなっちゃう…!
「お前は何をやっとるんじゃ」
聞き覚えのある嫌な声がして、ふと我に帰った。
気づくと正面に幼児…に変身した上司さんが立っていた。
「幼児と触れ合いたくてすべりだいに変身するとは、変態以外の何物でもないの」
違う!違うんだ!これは今朝、気づいたらこうなっていて…
「忘れとるようじゃから言っておくが、お前昨日ベロンベロンに酔って、幼稚園のすべりだいになるとか言って飛び出したんじゃぞ。様子を見にきてみたらこのありさまじゃ」
えっ…自分でこの姿に?
つまり、俺はこれから一生ユキくん専用すべりだいとして生きていくことも可能であるということか?!
いやっほーーい!
「馬鹿なこと言ってないで早く悪魔に戻るんじゃ。はよしんと、043号が仕事をサボっとるって魔王に報告するぞ」
魔王なんて知るか!俺はすべりだいとして生きていくんだい!
「ねえ、君だれ?」
再びすべりだいの頂点にのぼっていたユキくんが上司さんに尋ねた。
「初めて見るよね?この幼稚園の子?」
「わしは悪魔じゃ。部下がこんなところですべりだいになっとると聞いて、連れ戻しに来たんじゃ」
「ふうーん」
わかっているのかいないのか、ユキくんは興味がなさそうに相槌を打った。
「お前、そこから降りるんじゃ。このすべりだい、悪魔に戻るからの」
「えー、やだ!」
「降りるんじゃ!わしはものすごい悪魔なんじゃよ!わしの言うことを聞かんと、すごいことになるぞ!」
「ふんわりしてるー」
「ええい!言うことを聞けー!」
上司さんがユキくんに手を伸ばそうとした瞬間、後ろから高校生に捕まえられた。
「幼い子どもに手を出すのか?卑怯な悪魔め」
「おっ、お前誰じゃ!なんでわしが悪魔だと…」
「俺はすごいエクソシストだ」
「名前はなんていうんじゃ?」
「…は?」
「名前がわからんと、お前のことなんて呼んだらいいかわからんじゃろ?」
「碧だけど…」
「アオイか!きれいな名前じゃの!」
「なんでこいつこんなにのんきなの?」
「…ん?なんじゃあれ…」
上司さんの視線の先には、こちらへ向かってくる一筋の白い液体があった。
あれはたしか…近所の高校がある方角か?
避ける時間もなく、俺とユキくんと上司さんとアオイに白い液体が浴びせられ、4人は気を失った。
パート3(あくまさん)
あくまさん!
起きて、あくまさん!
ユキくんの声がして目を開けると、俺は何もない暗い空間にいた。周りを見ると、上司さんやアオイもいる。
そして俺の体は、すべりだいから悪魔へと戻ってしまっていた。
「よかったぁ、起きてくれて。本当にすべりだいじゃなくてあくまだったんだね」
ユキくんに抱きつかれ、口元が緩む。
「ここはどこですか?」
「わあー!あくまさんがしゃべったー!」
「え?」
「すべりだいだったときはぜんぜんしゃべってくれなかったから…。ねえねえ、ぼくの言葉、ちゃんと通じてた?」
「通じてましたよ。俺はユキくんのものです」
「うわわー!やったー!」
「お取り込み中のところ悪いが、こちらを向いてくれ」
「ん?」
いつのまにか、ひとりの悪魔が立っていた。
「お前らは死んだ。閻魔のところへ連れて行く」
「死んだ…?どうして?」
「淫魔の精液を全身に浴びたからだ」
「げぇさっきの白いのって…」
全員が嫌な顔をする中、ユキくんだけはきょとんとしている。
「ねえ、あくまさん。精液ってなに?」
「ユキくん〜〜!教えてあげるからちょっと向こうへ行きましょう?」
「こら犯罪者!わしはお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」
「馬鹿なことで騒ぐな。行くぞ」
悪魔が指を鳴らすと、一瞬で大きな川の川岸へと移動した。
「閻魔のところへは、この舟に乗っていく。くれぐれも落ちるなよ」
と言って出してきたのは、舟というより、豪華客船というべき代物だった。
中に乗り込むと、異様な空間が広がっていた。
『地獄へようこそ!』
『地獄へようこそ!』
『地獄へようこそ!』
『閻魔様は素晴らしいお方です!』
『閻魔様に従いましょう!』
『生まれ変わるために罪を償いましょう!』
『あなたは変われる!』
『良い人間になりましょう!』
延々とそんな調子の声がリピートし、無数の液晶画面に「立ち直るための5つのステップ」やら、「地獄であなたも生まれ変わる」やら、変な映像が流されている。
「なんだこの洗脳会場みたいな場所は…」
アオイがぽかんとつぶやいた。
「地獄は近頃大改革が行われ…まあ…こんな感じになった」
悪魔はきまりが悪そうにしている。
しばらく舟に揺られ、降りた先では閻魔と魔王が座り心地のよさそうなソファに並んで座って待っていた。
「例の4人を連れてきました」
「ご苦労だね、普通の悪魔のマオくん!下がっていいよ!」
閻魔が手持ちのステッキをくるりと回すと、案内の悪魔は下がっていった。
「そうだなぁ君たちの罪状はー」
閻魔はステッキを順につきつけた。
「043号、ショタコン罪」
「ユキ、成人男性たぶらかし罪」
「アオイ、悪魔いっぱい退治罪」
「14号………うん?何もないな。下がってよし」
「なんでじゃあ!わしはすごい悪魔じゃよ!悪いこといっぱいしとるんじゃよ!」
上司さんがわめいている。
「君たちは幸運だね。僕が改革した新しい地獄へ行けるなんて」
三途の川があんなことになってたんだから…地獄はどうなってしまってるんだ。恐ろしい。
「おい閻魔。納得がいかんぞ」
アオイが閻魔を睨んだ。
「淫魔の精液を浴びたくらいで、どうして死ぬことになるんだ。淫魔の精液なんて、せいぜい媚薬効果がある程度だろう」
「ああ、やっぱりそう思う?」
そこで初めて魔王が口を開いた。
そもそもなぜ閻魔のところにいるのか、不思議に思っていたのだ。
「ちょっと手違いでね。どうやら俺、あの淫魔を作るのに失敗していたらしい。淫魔が死んだとき、精液に殺傷能力が加わる仕様にしていたみたいでさ。いやーまさか、悪魔が2匹も死ぬなんて思わなかったよ、あっはっは」
「あんたのせいかよ、ふざけるな!」
「まあまあ、そんなに怒るなよアオイくん。かわいそうだから今から出す条件をクリアできたら、お前らの死をなかったことにしてやる」
「条件…?」
「リリツ、例の子連れてきて」
「わかりました」
魔王の側に控えていた、リリツという悪魔がまた別の悪魔を連れてきた。なぜかメロンパンをぱくぱく食べている。
「この子はサイム。悪魔の世界の問題児」
「こんにちはぁ」
サイムはもぐもぐしながら頭を下げた。
「悪魔に生まれたくせに、メロンパンが好きすぎてメロンパンになりたいらしいんだよ。君たちのうちの誰かが、サイムを完全なメロンパンにすることができたら、生き返らせてあげよう」
「よろしくねぇ」
サイムは再びもぐもぐしながら頭を下げた。
「そういうことならわしがやるぞ!すごい悪魔であるわしが!」
上司さんが勢いよく手を挙げた。
たしかに、自分が変身するのは簡単だが、他人を変身させるのは力の強い悪魔にしかできない。ここは上司さんに任せるのが最適か…。
するとサイムが俺のところにとことこと歩いてきて手をつかんできた。
「僕、あのおじさんきらぁい。こっちのおじさんにやってほしい」
「むむっ?!」
サイムはまだ小さな悪魔だ。
全然、全っ然、ストライクゾーンだ。
「おーよしよし。こっちのおじさんが君をメロンパンにしてあげるよー」
「な、なんじゃそれ!なんじゃそれ!わしの何が悪いんじゃ!泣くぞ!」
俺がサイムの頭に触れようとすると、その手をユキくんにつかまれた。
「あくまさんは、ぼくのものだよね?」
「ぬおおっ?!」
口を尖らせてるユキくん、めっちゃかわいい。ヤキモチ妬いてる風なのも、すごくいい。
右にユキくん。左にサイム。なぜか俺を取り合ってる。
なんだ?ここは?天国か?俺だけ先に天国へ行ってしまったのか?悪魔のくせに!
「サイムくんは、ぼくがメロンパンにしてあげるよ!」
「…えっ?ユキくん人間ですよね?さすがに無理が…」
「ぼくにまかせて!」
ユキくんは笑顔で胸をたたき、サイムの頭に触れた。
「おいしくなーれ!おいしくなーーれ!」
かっ…かわいいぃぃぃい!
一生懸命頭を撫でてる!そんなんでメロンパンになるわけないのに!
「なんだこの茶番は…」
アオイがため息をついて上司さんを見た。上司さんはすねて三角座りをしている。
「あんた、早くあいつをメロンパンにしろよ。できるんだろ?」
「できるけどぉ、わし嫌われとるしぃ」
「ごちゃごちゃうるせえな」
「わし、心折れたもん。力出てこんもん」
「めんどくさいやつ」
アオイは上司さんの耳元で囁いた。
「あんたすごい悪魔なんだろ?かっこいいところ見せてくれよ」
「んんっ?!」
「すごいエクソシストの俺にはわかるよ。あんたは強い。この状況をなんとかできるのは、あんたしかいない」
「まっ…まかせとけーい!」
上司さんは顔を真っ赤にして立ち上がり、サイムに手を向けた。
「メロンパンに、なるんじゃー!」
ポンッ!
かわいらしい音がして、サイムはメロンパンになった。
「成功じゃー!」
「ちょろい…」
アオイがぼそっとつぶやいた。
そして目の前の景色が急に暗くなっていき、気づくともとの幼稚園にユキくんと2人で立っていた。どうやら条件をクリアし、生き返ることができたようだ。
ちなみに上司さんとアオイはどこにもいない。ショタ以外には興味がないからどうでもいいが。
「あくまさん、またすべりだいになっちゃうの?」
ユキくんが俺の服の袖を引っ張っている。
「そうですね。 このまますべりだいとして一生を終えるのもよいかと」
「ぼくやだなぁ」
「えっ?」
「ぼく、大きくなったらあくまさんとけっこんしたい!」
「なっ…なんと!」
ユキくんが大きくなったら……大きくなったら?
いや、ユキくんは大きくならんだろう。
「結婚しましょう。今すぐしましょう」
「でも、幼稚園児はまだけっこんできないんだよ?」
「大丈夫です。俺は悪魔なので、どっちみち婚姻届は出せません。それなら今しちゃいましょう」
「うん!わかったー!」
「少々お待ちを」
急いで幼い女の子に変身し、ウェディングドレスを身にまとう。
「これでどうですか?花嫁らしいですか?」
「ううん。あくまさんは、あくまさんのままでいいんだよ。元の姿にもどって!」
「は…はい…」
人間は同い年くらいの男女で結婚するものではないんだろうか?
「あくまさん、指だして。左手のおねーさん指」
「うん?こうですか?」
「はい、これ、けっこんゆびわ」
ユキくんは小さな手で、ハリガネで作った指輪を指にはめてくれた。
「愛してるよ、あくまさん」
そう言って笑ったユキくんの顔がかわいくてかわいくて、俺は昇天してしまった。
「なんだ君、また来たのか」
閻魔と魔王が呆れ顔でメロンパンを食べている。
「…って、そのメロンパンもしかして」
「サイムだよ」
「サイムーーー!」
おわり
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