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〜友人〜
あの後、
あいつは数日間学校を休んでいた。
当たり前だと思った。
そしてもう1つ、
その数日の間であいつの恋人だった人は転校して行った。
家も出て3駅ほど離れた場所にいた。
俺は時間がある時、
その人に会いに行く。
その人は俺を見ると申し訳なさと嬉しさの間の表情で笑った。
その人は今の生活の話を聞かせてくれる。
話している時はとても楽しそうに思えた。
(…そう言えばこの人は話すことが好きだったな)
しかし、
あいつのことは聞いてこなかった。
忘れているのだろうか、それとも忘れたいのだろうか。
それは分からなかったが、
それでいいと思う自分がいた。
もう二度とこの人には傷ついて欲しくない。
だけど、
どう思っているのか気になる。
俺は聞くことにした。
「…あいつのこと聞いてこないんだな」
その人は俯き、息をつくように微笑んだ。
「うん。
だって聞いたら悲しくなっちゃう。
会いたくなっちゃう…。
それに彼は俺のこと忘れているだろうし、
忘れていてほしい。
彼には今の生活を楽しませてあげたい。
俺が壊しちゃったから」
とても辛そうに笑うその人表情に胸が苦しくなった。
「それにね、
これは俺への罰なんだよ。」
「罰?」
「そう…、
俺は背をわなくてはいけない。」
少しだけ小さく震えている肩が視界に入った。
そんなの理不尽だ。
俺は思ったが口には出さなかった。
この人は今でもあいつのことを想っている。
あいつが自分のことを忘れていてもそれを望み、
自分だけが傷つき生きている。
あいつはこの人を、
俺の目の前にいる人を博愛主義者だと言ったが、
俺はこの人は一途だと思う。
だって、
この人がとる行動、
考えていたのはいつもあいつのことばかりだ。
それに気がつかなかった、
気がついてやれなかったあいつを、
こんなにも恨めしく憎まずにはいられなかった。
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