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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ21
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ニコニコ笑う雪見に対して、立花は困ったように笑う。
「それは誉められてるんでしょうか……?」
「ほ、誉めてます!」
「えっと……ありがとうございます。でも雪見くんも何というか……可愛らしいですよ。」
「それ、誉めてます?」
「誉めてます!」
……なんてくだらない会話だ。
いつまでも続きそうな会話にやれやれと口を開いた。
「そんな事やってると遅刻するぞ。」
腕時計を確認した雪見は、ハッとした表情を浮かべ
、大学までの道を歩み始めた。
「すみません!ちょっと走ります!」
その宣言のあと、俺達の返答を待たずして雪見は駆け出した。
なかなかのスピードで驚いた。
「ちょっ………待っ………」
後ろから聞こえた途切れ途切れな声に振り返れば、遅れを取る立花の姿。
「急げ、離されるぞ。」
「わかって、ます。倉橋さん、先に、行って下さ……い。」
息も途絶え途絶えに言葉を紡ぐ。
堪らず舌打ちをして、立花の右手首を掴む。
「え……?」
「………離れる方が面倒なんだよ。」
携帯もないくせにどうやって落ち会うというんだ。
立花の体を引っ張って雪見の背中を追う。
「倉、はしさ……むりっ……離して……」
「……誰が離すか。」
吐かれる弱音は無視して、決して手を離すことはしなかった。
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