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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ43
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洋side
時刻は16時。
15分前には立花から連絡があり、これから帰宅するとのことだった。
結局アパートへは誰も姿を見せることはなかった。
無駄足か……。
そう諦め掛けたとき、ポストに近付く影がひとつ。
男は全身真っ黒な服装で、いかにも怪しげだ。
息を潜めて男の動向を見守る。
キョロキョロと辺りを確認し、懐から茶封筒を取り出すと、雪見のポストに手を掛けた。
……決まりだな。
男に気付かれないよう足音を消して、背後から近付く。
そのままポストに伸ばされていた手を掴んだ。
「ーー!?」
「雪見のストーカーだな?少し話を聞かせてもらおうか。」
男は目を見開き、俺の姿を確認すると懐から短いナイフを取りだし切りつけようと振りかざした。
避けるため咄嗟に掴んでいた手を離す。
「随分物騒だな。」
「う、うううるさい!何なんだ、お前!」
「何でも屋、いや今はボディーガードかな。手荒な真似はしたくない。話をするだけだ。」
出来る限り力業は避けたいところだ。
だが、男は動揺が激しく俺の言葉は届いていないようだった。
「うるさい!うるさい!他人が邪魔をするな!」
闇雲に振り回されるナイフを避けるのは簡単で、隙をついて男の手を蹴りあげる。
その衝撃でナイフは宙に舞い、カランと音がして地面に落ちた。
「さて、そろそろいいだろ?話を聞かせてもらう。」
男はそれでも俺を睨み、話を聞きそうにない。
仕方ない、力で押さえ込むか。
と男を見据えた時、男の背後の方に二つの影が見えた。
雪見と立花だ。
そう言えば帰宅すると連絡が来ていた。
まずいな……。
二人はお互いに会話に夢中なようで、こちらに気付いていない。
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