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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ55
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立花が目を覚ましたのは、それから数時間後だった。
何度か瞬きをして、ようやく俺の姿を捉え、顔を赤くした。
「あ、あの……すみませんでした。迷惑を掛けて」
慌てて身体を起こそうとした立花を止めて、ベッドへ腰掛ける。
頬に触れてみると、熱はもうすっかり引いたようだった。
「倉橋さん?」
「……どこか悪いところはないか?」
問えば更に顔を赤くさせ、首を横に振る。
「もう大丈夫です。本当にすみませんでした。」
「ん。もういい。」
手を頬から頭に移して、ぐしゃぐしゃと撫でた。
「わっ!な、何するんですか!」
「何となく、したくなったから。」
「もう………。倉橋さん、何だかまた雰囲気変わりました?」
恐る恐るといった様子で俺を窺い見てくる。
「そう思うか?」
「……はい。」
じっと立花の目を見れば、首をかしげる。
きょとんとした間抜け面だ。
その顔を見ると力が抜けて、思わず口許が緩んだ。
「ふっ……ははは」
「く、倉橋さん?」
「立花………どうやら俺は、アンタが好きみたいだ。」
この時の、コイツの顔を俺は忘れないだろう。
目を丸くさせ、みるみると頬を赤くさせるこの顔を。
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