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CAGE3:少年の記憶と過ち34
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だから頑張って、と暁斗は遊具の方へ駆けていく。
まぁ、視界には入る距離だから心配はないだろう。
それより、と何も言わない立花の背中に少し近付いた。
「…………さっき、」
聞こえてきた声は、少し震えていた。
「さっきの女性に何と返す予定だったんですか?」
そう言えば、言い掛けて止めたんだったなと思い出す。
「連絡先を教える予定だったんですか?」
ぎゅっと握りしめられた拳が見えた。
ああ、そう言うことか。なんて、今更気が付いた。
俺は一向に振り向かない背中にさらに近づいて、首に腕を回し、ゆっくりと抱いた。
嫌がる様子もないので少し力を入れた。
「……嫉妬、してたんだな。」
「なっ…………。そうですよ……悪いですか?」
拗ねて開き直った物言いに、どんな顔しているのかと気になって、ぐいっと体を振り向かせた。
「わっ!ちょっ……な、何するんですか…」
「どんな顔してるのかと思って。」
「み、見ないでください。僕、怒ってるんですからね。」
「どうして?」
「だって……貴方だって前に言ったじゃないですか。誰にも取られたくないって……僕だって同じなんです。……同じに思っちゃダメですか?」
顔を赤くして、泣きそうなぐらい涙ぐんで、ふるふると震えて、まるで全身で好きだと言われているようだ。
「立花、」
「な、何ですか…?」
「…ふっ、可愛いな。」
「ぇ………え!?」
それは自然と出た言葉だ。
目の前の立花を愛しいと思った。
「な、何言って……」
「可愛いよ、アンタ。」
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