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CAGE3:少年の記憶と過ち37
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雪見くんの家へ向かう途中、何だか妙に嫌な予感がした。
胸がざわついて足が止まる。
何でしょう……この胸騒ぎは……。
人間、こういう時はだいたい予感が当たるものだ。
手にしていたバックの中を見れば、持っていくはずだったマフラーが見当たらなかった。
どうやら忘れてきてしまったようですね……。
仕方ないと来た道を引き返し始める。
嫌な予感は変わらず胸を燻っていた。
何なんでしょう……。
知らず知らず足の速度が速まる。
「ーーすみません。」
いきなり掛けられた声と肩に置かれた手に、瞬時に距離を取って振り返った。
あまりの勢いに相手も驚いたように目を丸くしている。
振り返った先には二人組の男女。
二人ともスーツを着ていて、雰囲気が堅い。
「藤堂(トウドウ)、相手に警戒心を抱かせるなといつも言っているだろう?」
女性は男性を怒鳴り付けるように言う。
30代後半といったところだろうか?
細身の美しい女性だ。
ただ今ので口が悪いと言うことは分かった。
「すみません、笠見(カサミ)さん…」
対して男性は大きな体格とは裏腹に気は弱そうだ。
どちらかと言えば冴えない見た目の彼は、彼女に頭が上がらないらしい。
「急に声を掛けてしまって申し訳ありません。」
女性は僕に向き直ると、にこやかに笑った。
「少しお話をお伺いしたいのですが」
話……?
僕が怪訝な顔をしていることに気が付いたのか、女性は怪しい者ではないと言う。
「先に名乗るのが礼儀ですね。」
そう言って女性は懐から小さな手帳を取り出した。
「我々は警察です。」
その手にあったのは、確かに警察手帳だ。
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