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CAGE3:少年の記憶と過ち40
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暁斗side
洋兄はお仕事、直兄は友達のところへと遊びに行ってしまったから今は一人だ。
二人とも遅くはならないって言っていたけれど、やっぱり一人は退屈だ。
この家に来て少し経つ。
ここでの生活は心地良い。
何より洋兄と直兄の側には安心があった。
服の袖を捲れば治りかけの傷痕がある。
直兄が丁寧に手当てをしてくれているお陰で綺麗に治りつつある。
洋兄は言った。
願えば幸せにしてくれると……。
直兄は言った。
俺と洋兄を幸せにすると……。
俺は二人のことを幸せにしたいと思う。
まだまだ子供で出来ることなんて全然ないけど、それでも母さんに守ってもらった分だけ二人に返したいと思う。
ってことで、まずは出来ることからだよね!
部屋中ピカピカに掃除して喜ばせよっと。
寝室の布団を洗おうと直兄のベッドに近付いたら、下に落ちたマフラーが目に入った。
これ、直兄が作ってたやつ……
おかしいな、今日はこれを見せに行ったはずなのに…。
きっと忘れていったんだなぁ……直兄ああ見えておっちょこちょいだから。
そう考えていたら、玄関の方からドアノブを回す音がした。
あ、直兄だな。
全く慌てん坊なんだから……。
マフラーを手に玄関へ向かう。
ガチャガチャと回るドアノブに声を掛けた。
「待って、今開けるから。」
ーーなんて、少し考えれば分かったはずなのに。
よく考えもせず、俺はドアの鍵を開けてしまった。
「久しぶりだね、暁斗。随分探したよ。」
「ーーな、んで……?」
開けたドアの先には、にやにやと嫌な笑みを浮かべるこの世で最も見たくない顔があった。
「なんでって?迎えに来たに決まってる。お前は俺の息子だろう?」
紛れもない憎らしい親父の姿があったんだ。
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