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- 暗闇の中 -
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_ ” ニュース “
“ 〇〇町の交差点で高校生と思われる男の子が飛び出し、トラックとの事故が起こりました。原因は男子高校生の飛び込みだそうです。けれど、その男子高校生は意識不明で病院に搬送されましたが、未だ回復もしていないようです。“
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ニュースが奏の飛び込み自殺のような事故を取り上げ始めたのは事故があってから2、3日後。それは、現場に小さな宝石があったからだ。普通ではあり得ないくらい透明度が高いものや、輝きが他よりも違うもの、それらが現場に残されていたから。それのせいで、奏は世間から興味の目を持たれ始めていた。
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_ “ 暗闇の中 ”
奏は一人、真っ暗な場所にいた。音も光もなく、ただ静かで真っ暗であった。場所もわからないまま、光もないままゆっくりと歩き始める。
「 ここは、どこなの......、?」
知っている名を呼ぼうとするもなぜかその声は出なく、自分の名前だけはちゃんと言える。忘れてしまったのではないかと思うも、気にせずにただ歩いていく。壁もなく、どこを歩いても何もぶつからない。どこかもわからない場所を彷徨い歩いていた。
_ “ 奏...、”
どこからか自分の名前を呼ぶ声がした。上下左右を見ても暗闇で人などどこにもいない。そもそも何も見えなかった。けれど確かに自分の名前を呼ばれたような気がした。それに答えるように、“ 貴方は誰? “ と聞いてみるも声は返ってこない。
_ ” 奏。今、外では貴方のことを調べようとしている人が沢山いるわ。ニュースで貴方のことが取り上げられたみたいなの。トラックの前に飛び出した時に、泣いていたの?そこに宝石が落ちてたみたいでね、世間から注目を浴びているのが奏、貴方なの。このままいったら、貴方は実験台やいい風に利用されてしまうわ...。貴方はそれでもいいのかもしれない、私は、逃げて欲しいの。そんな利用されて嬉しいことなんてない、晶さんや縷亜さんと一緒に逃げて。記憶が消えるというのは私が今ここで治すわ。だから...... “
「...、僕は、どこにいても、利用されてるの。晶さんや縷亜さんだって本音を言えば宝石が欲しいだけかもしれない。...、でも、世間から注目を浴びるなんて、すごいね、僕。ねぇ...、君の名前はわからないけど、僕は一人で逃げるよ。楽しさも幸せも、要らないから。」
どこからか聞こえた声の主を探すもやっぱり見えず、諦めに入るも話だけはちゃんとする。 ” 逃げて “ と言われても、事故が起こる前まで一緒にいた二人とは逃げられない。本音を聞けば宝石が欲しいだけだった。それならば一人で密かに逃げ、誰にも迷惑をかけないようにしたいからだ。けれど、声の主はそれは嫌なんだそう。
_ ” 奏。逃げて...。私の分まで楽しいんで? “
「...、ねぇ、誰なの......、?」
_ ” わからないのは仕方ないわ...。貴方が幼い時にいなくなってしまったもの...。こっちは仲良くやっているわ。奏も幸せに、今の時を楽しんで生きて? “
「...、おかあ...、さん......、?」
_ ” ...、そうよ。初めまして、私の自慢の子。ねぇ、奏、楽しんで生きてね...、嫌になったら呼んで、いくらでも貴方の元へ行くわ。ほら、目を開けて、逃げて “
高校生になって、事故にあって意識不明の状態で、真っ暗で何も見えない場所で自分の母親にあった。最後には小さな光が見え、向かいには長髪の綺麗な女性が立っていた。初めて見る親の顔。そのあと、目など開けずにずっと話が終わるまでその暗闇の中にある小さな光を中心に話をしていた。
_ ” じゃ、ここで今回は終わりね “
「...、うん。またここで」
暗闇の世界でゆっくり目を閉じ、眠りにつく。いつしか、目に入るのは明るい光。近くで声がした。 ” 目を開けて “ と。ゆっくり目を開ければ何度も見たことのある真っ白の天井。
「「奏......、!」」
左右両方から聞こえた声に若干驚くも、頭を動かし声の主を見る。すると、泣きそうになりながらこちらを見つめる二人がいた。
「晶さん、と...、縷亜さん......。」
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