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9. many years ago
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──チリン、チリン
──タン、タン、タン、タン
鈴の音と奏汰の足音がそれぞれ違うリズムを刻み辺りに響く。
猫は奏汰が着いてきているか確認するかのように時々振り返り、奏汰と一定の距離を保ちながら進んでいった。
しばらくすると猫が足を止め、つられて奏汰も足を止めた。
辺りを見回すと、簡易トイレと錆びた遊具が申し訳程度に2つほど置いてあり、一見すると空き地にしか見えないそこは公園のようだった。しかし子どもは一人も見当たらず、あちこちに雑草が茂り、もう何年も使われていないことが窺えた。
ここがどうかしたのかと奏汰は首を傾げた。
「…ゃ…!……ぃ…〜っ!」
するとそのときどこかから微かに声が聞こえた。
驚いて目をぱちくりさせていると、猫がニャア、と鳴いた。
どうやら目的はそれだったようだ。
「…いけばいいの?」
「ニャア」
「じゃあさわらせて?」
「………」
「…おわったらでいいから」
「…ニャア」
目的を果たしたら触らせてくれるという約束をとりつけた奏汰は、満足気に鼻を鳴らすと足早に音の元へと向かった。
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