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18.
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静かな廊下に2人分の足音が響く。それ以外、何も聞こえない。都会の喧騒も、騒がしい人々とも隔離された山奥の学園の、それも廊下。ここには2人しかいない。
…心地いい空間だ。
数歩先を行く怜の顔をチラ、と見ると、名に相応しい白い肌はうっすらと赤く色付いていた。
「奏汰、さん」
ふと怜が口を開いた。
「…なに?」
「…理事長とは、どのようなご関係なのでしょう、か…」
酷く緊張した様子で、声も硬い。
「…理人さんは、僕の叔父。それ以上でも以下でもない」
「そう、ですか…」
事実を教えてあげると、声質は柔らかくなった。今度は、安堵した様子。
「…ふは」
コロコロ変わる様子が面白くて、思わず笑った。
「な、なにがおかしいのですかっ」
「いや、別に…そんなに緊張しなくていいのに」
「っ…そんな、こと、ありません」
図星。
「…ふふ、そう」
怜の肩が一瞬上がったかと思うと次の瞬間には下ろされて、纏う空気も柔らかくなったのを見て、また笑みが零れた。
───────────
怜に連れられ校舎を出ると、石畳の広い道に出た。校舎から寮の道に石畳はいるのか?どこまで金をかけているのだろうか。本当にここは学校か?といろいろ言いたいことが出てきたが、慣れなければ、とぐっと飲み込んだ。
その道を10分ほど歩くと、また豪華な建物が現れた。
「ここが、これから過ごしていただく寮です。」
やっぱり。城の次は五つ星ホテルか…。
また、飲み込んだ。
「地下1階は温泉。1階は寮監室、ラウンジ、購買。2階は食堂。3階から5階が1年生の部屋。6階から8階が2年生。9階から11階が3年生の部屋になります。12階は生徒会役員、風紀委員専用のフロアです。
一般生徒の部屋は2人部屋、生徒会役員及び風紀委員は1人部屋となっています。」
広すぎやしないか。
「…さて、ここが寮監室です。」
歩きながら説明してくれていた怜が言いながら止まった。
ここは案外普通。
「時雨さん、新入生です。」
扉を開け怜がやや声を張ると、何やら奥で物音がする。
少し待つと、赤が混じった黒髪を後ろに結んだ細い人が出てきた。
「なんだ白雪」
「新入生です。この方の部屋はどこですか?」
「…あ?新入生?」
そう言って初めて奏汰をみとめると、時雨、そう呼ばれた男はそのグレーの瞳で奏汰をジッと見つめた。
「ふーん…きれーな顔してんな。…新入生っつったか?きーてねーぞ」
「理事長から書類が届いたかと思いますが」
「んなもんあったかな……えーと………あ、あったわ」
…この人、大丈夫だろうか。
「早乙女 奏汰、ね…。593号室。」
「はい。」
「同室はー…ああ、こいつか。まぁ気ぃつけろよ」
ケラケラ笑ってそう言われた。
同室は、どんな人だろうか。
「もうここには用はありません。行きましょう奏汰さん」
「ひでーなおい。…早乙女、いつでもこい、相手してやるよ」
相手…?セックスのかな。
「いいんですかー」
「駄目に決まっているでしょう」
「ちっ」「ははっ」
「でも…時雨さん、だっけ?僕タチなんで、掘られる気はありませんからね」
ニッと不敵に微笑むと、時雨さんの頬が少し赤くなった。
「っ…は、はぁ?つまんねーな」
こういう反応は、可愛いと思う。からかいがいのある人は好きだよ、僕。
「もう、行きますよ」
「ん。」
少し不満気な顔をした時雨さんの耳に口を寄せる。置き土産をしていこう。
「僕のとこきたら、相手してあげますよ…時雨サン」
わざと低い声で言ってやった。
…仕返し、とも言う。
「ぃっ…かねーよ!」
「くく、いつでもお待ちしてますよ」
ひらひら手を振って、先を歩く怜の後を追った。
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