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「長谷川、お前結構英語が出来るんだな。海外からの客にもしっかり対応できそうで安心した。」
帰りの車の中で皆川さんが意外だとでも言いたげにしていた。
「学生の時からコンシェルジュを目指していたので英会話は習いに行ってました。でも言葉は出来ても文化まではなかなか難しくて勉強中です。欧米だけでなく、最近はアジアからのお客様も多いですし。」
「そうだったのか。何でコンシェルジュに?」
「ホテルを運営させる為の縁の下の力持ち、だからですかね。フロントだって、ドアマンもベルボーイもそうですけどね。」
「だな。でも本当お前のおかげで会食にも華があったよ。商談もうまくいったし、助かった。」
皆川さんが隆之に向かいお礼を告げるものだから恐縮してしまう。
「とんでもないです。仕事のうちですし。そもそも同伴っておっしゃってましたけど男の俺じゃなくてフロントとかの女の子を連れて行った方が良かったんじゃないですか?」
「だから言ったろ?俺はゲイで男が好きだし、そもそも俺が気に入ってるのはお前だ。」
膝に置かれた手にびくっと身体が飛び跳ねる。
「はははっ、ウブな反応するんだな。お前、寮生活だったか?今日は俺の家に泊れよ。」
誘うことに慣れた様子の皆川さんに何故か苛立ちを覚えた。身体目当てかよ‥。
「申し訳ないですけれどっ!俺は皆川さんとはそういう関係になれません‥!男は恋愛対象じゃないし、それに皆川さんのこと好きじゃない‥、あ‥ごめんなさい‥と、とにかく付き合えないです!でもオーナーとしては尊敬してます!一生付いていきます!!」
運転席の皆川さんを見ると口を開けてポカンとしていた。と思ったら豪快に笑いだした。
「お前、最高。啖呵切られて嬉しかったの初めてだな。オーナーとしては一生付いてきてくれるんだ。良いぞ、今はそれで。お前のこと、本気で欲しくなった。これからじっくり落としてやるよ。」
思惑とは逆に上機嫌になってしまった皆川さんを見て、隆之はがっくりと肩を落とす。
止めてくれ‥誰かと深く付き合うつもりなんかないのだから‥。
気落ちしたまま返事ができず、寮まで送ってくれると言う皆川さんに頷いた。
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