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デート?
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「さすがにフレンチが立ち食いだとキツイだろって思ってたけど全然イケるものだな。」
一皿が安価で小さめの皿に量もやや少なく盛られており、さくさくと食べ進められる。なるほど色々試せて良い、と料理に評価をつけながら次々と注文していく皆川さんを見ると本当に手際が良くて仕事ができる人だということが分かる。
「酒は?」
「んー、サングリアが美味しいです。フルーツもたくさん入ってて見た目もすっごく可愛い!」
「ははっ、若い女の子みたいなこと言うな。」
そう突っ込まれると確かにそうだと思い、恥ずかしくなる。
「サングリア好きなのか?」
こくんと頷くとあからさまに嬉しそうな反応をされた。
「長谷川の好きなもの、一つ知れた。次はスペインバルだな。サングリアはスペインでよく飲まれているものだからな。赤が定番だけど白ワインのサングリアも美味いらしいよ。」
さすが皆川さん。感心しながらムール貝の白ワイン蒸しを食べる。食事はどれも美味しくて、その話で会話が進むから皆川さんとの食事は緊張しなくなってきていた。
「沢山食べちゃいましたねー。」
「デザート二つも食べさせたな。悪い。」
「とんでもないですっ。うまく感想を伝えられず申し訳ないです‥でもすごく美味しかったです。俺、いつもご馳走になってしまって‥。」
帰りの道、少し離れた駐車場まで夜道を歩く。
「いいんだ。仕事を絡めてでも良いから、それを口実にデートに付き合ってくれよ。」
「デ、デッ、デートッ‥。」
「あーもう、そう深く考えるな。」
海沿いの道を歩くと、海風がとても冷たい。真っ黒に広がる海と対照的な夜景がとても綺麗でゆらゆらと揺れて見える。
横浜の風とこの海の香りが懐かしくてスンと鼻で息を吸い込み嗅いでみる。冷たい空気を直に感じぶるっと震えると、皆川さんが自分が巻いていたマフラーを貸してくれた。
「えっ、良いですよ。皆川さんだって寒いじゃないですか。」
「良いから。こういうの男ならやりたいんだ。」
だから俺も男なんですってば‥。
面倒だから口に出さない代わりに睨みを利かせる。
「なぁ、せっかく来たからどこか寄っていかないか?」
皆川さんが誘ってくれるけど、なるべく早く寮に帰りたかった。この場所はどこも昔の記憶が多すぎる。
けどせっかく連れて来てもらったし付き合わないと悪いかな‥と断るのを躊躇する。
「あ、今断りたいって思ったろ?俺、お前の表情を読めるようになってきた気がする。」
「なっ、そんなことないですよ‥。」
「じゃあどこか夜景スポットでも付き合ってくれるのか?」
その時ふと隆之の頭の中に、幼き頃のある情景が浮かんだ。
「俺の‥行きたいところでも良いですか?」
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