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僕が聞くと時雨さんの表情が、少し変わった気がした。
「俺の子供の頃か……」
「時雨さん?」
「あっ、悪い。
俺の子供の頃は、母親がだいすきだったな。」
「お母さんですか?」
「あぁ、そうだ。
今は、もういないけど……」
もう、いない。
どうしよう、これって時雨さんにとって思い出したくない記憶なのかもしれない。
「時雨さん、ごめんなさい。
僕、何も考えずに質問して。」
「大丈夫、真白。
別にこれ俺にとって思い出したくない、記憶でも何でもないから。
だから、大丈夫だ。」
そう言うと時雨さんは、僕の事をぎゅっとした。
時雨さんの心臓の音が聞こえる。
嬉しい。
ちゃんと、時雨さんが横にいてくれるんだって実感できるから。
「真白?」
「どうしたんですか?」
「俺の心臓の音は、聞こえるか?」
「えっ?」
「さっきから、俺の胸に手当ててただろう。
俺の心臓の音聞いてんのかなってな。
まぁ、今の真白の表情を見る限り当たりだな。」
どうしよう、また顔が熱くなる。
今日は、いったいどんだけ熱くなればいいんだろう、僕。
それになんだか、時雨さんの心臓の音聞いてたら眠くなってきた。
まだ、沢山話したい事があるのに。
まだ、眠りたくないのに。
時雨さんは、僕の頭を撫でて言う。
「おやすみ、真白。
また、明日な。」
僕は、その言葉を聞くと自然と瞼が降りてきて夢の世界に行った。
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