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御曹子との会話
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吸血鬼ってのは気取ってはおりますが、元々は歩く死体と同じ系統の、まあ、良くない生まれなんですよ。
大多数の血筋の祖は強欲の人生を歩んだ人間です。まだやりたい事がある、死にたくない死にたくないの念で未練たらしく現世に蘇った者。他者よりも楽な人生を歩んだ人間が邪神と契約して堕ちた者。そんな奴等の子孫が吸血鬼です。
神聖の方々とは違い、穢れた身分なんですよね。まあ、だからこそ欲望をコントロールし、誇りと言う鎖で自らを戒めて今の地位を手に入れたんですけどね?ほら、神聖の方々って、話が通じないでしょ?欲望を感じたこともなく、清らかな中で過ごした方々にとって、真実が大切だから、事情とか理由とか気にしないじゃないですか。やっぱり、神聖の存在は恐ろしいんですよね。
だから……、ああ。すみません。話が逸れちゃいました。
つまり、吸血鬼とは欲深い存在です。欲深すぎて食欲と性欲を一緒に刺激される、動物的な所もございます。だからこそ、吸血を妄りに行わないんですよ。
人間でも言うでしょ?【胃袋を掴め】ってね。俺達の場合は、それが顕著なんですよ。
貴方みたいな神の加護やらなんやらをたんまり受けてる、優れた戦士なんて……本当に最高です。
言われません?
ああ、やっぱり。
普通の吸血鬼ならば、貴方の血を吸ったら瞬間、逆に貴方の虜になるでしょうね……。
あの……、協力してもらえるのは、大変ありがたいです。今更ですが、公彦さんの気持ちに気付いていらっしゃいますよね?
分かりやすい?そうですね。あの人、気が弱すぎて嘘がつけない人ですから。あの人自身は気付いていないけど、あれは恐らく【はつこい】です。
始祖の愛は尊く稀なもの。
あの人は貴方を思って生きてきた。恋の意味でも憧れの意味でも畏れの意味でも恐怖の意味でも、貴方に対する想いは深くて重い。あんなに大切にしていたアイツを構えなくなるほど、貴方の存在は重い。だからこそ、再び貴方に蔑ろにされた日には傷付くでしょう。
吸血鬼の生まれを話しましたでしょ?欲望を背負った賎しい吸血鬼にとって、始祖とは特別なんですよ。始祖は別名【穢れ知らず】と言いましてね、普通の吸血鬼のように陰惨な誕生談を持たない、おかしな言い方ですが清らかな吸血鬼なんです。吸血鬼達にとって、一種の崇拝の対象です。
普通ならば幼い頃に保護して大事に大事にされるんですが、あの人は発見が遅くてあんな悲惨な事件が起こったでしょ?あの人は、【穢れ知らず】とは言えなくなってしまった。だからまあ……、里の権力争いとか様々な事情が絡み合って、今の身分になったんすけど。
それが良かったんですよ。じゃなかったら、他の始祖みてぇに、誰かの正妻として一生閉じ込められたでしょうから。桐生家の家名は大きくて磐石です。正直言って、蒼頭家の当主候補になったのは保護の意味もあります。
そこんところは、複雑なんすよねぇ。
もし、別の里だったら問答無用で誰かに飼われていたでしょうし、うちの里でも未だに【隔離】すべきと言う人もいます。
何を言いたいかってぇと、あの人は里にとって大事な人です。確かに始祖だからってのもありますが、あの人自身が築き上げた信頼もあります。だから、貴方が生半可な気持ちで手を出して、あの人を傷付けたら大事になります。
血が流れるでしょうし、吸血鬼は貴方を一生許さない。蒼頭家の清彦とか怒り狂うんじゃないかな?あの馬鹿、なんだかんだ言ってブラコンだから。
え?
手の込んだ食事を作る
毎日、掃除に来る
疲れたらマッサージしてくれる
一緒にいるだけで幸せな顔をする
夕飯を一緒に食べれないと寂しそうになる
ちょっ、ちょっと?
いや、急にのろけられても困るんですけど。
こんなに尽くされて悪い気のする男はいない?まあ、そうですけど……。一度、手を出すと決めたら最後まで責任持つ?
ひゅー、男前ぇ。
今のあの人を見ていたら、昔の行いも可愛く思えてきちゃったんすか。昔、傷付けた分、優しくしてあげたいんですか。
聞いた事ありますが、酷いですよね。
まあ、俺もその気持ち、よく分かるんで何とも言えないです。一度自覚すると、素直じゃない言動や忌々しく思っていた事も可愛く思えてきちゃって。辛く当たっていた自分が申し訳なくなってしまう。
なんか、お互い厄介な人に惚れちまいましたね。
はい。今からやることが、かなり問題な事は分かってます。けど、俺はアイツに、なんつーか、その、狂っちまってるんです。
よく、酒に狂う、博打に狂う、女に狂うと言いますでしょ?俺はアイツに狂っちまってるんです。
だから、嫌なんですよ。
いくらあの人でも、アイツは俺の物だ。
絶対に離さない。
あの人も貴方の物?
そうですね。
だから、まあ、良いんですよ。
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