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王子様
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とあるところに、とても素敵な王子様がおりました。
御伽王国第二王子、マーク・オリヴェロ
様々な才能に恵まれ、幼い頃には神童と呼ばれた。
24歳の現在ではその剣技の才を認められ国一番の騎士として国民から尊敬されている。
真っ黒で艶やかな髪に端正な顔つきに惹かれる女性も数しれず。
そんな素敵な王子様にも、欠点がありました。
「マーク王子!また国王様が主催されたパーティーを欠席なされたんですって?」
王子付きのメイド、そしてマークの乳母であるアトリーがマークに詰め寄る。
マークにこんな風に意見できるのはきっと彼女だけだろう。
「なんだ、アトリー。そんなことか。」
「そんなこと、ではありません。この間のパーティーはマーク王子の為に開かれたというのに。」
そのパーティーは成人を迎えてもなお婚約者を決めようとしないマークに見兼ねた国王陛下が、マークの婚約者を決めるために開いたパーティーだった。
「俺は婚約者を決める気は無い。何にも、誰にも俺は興味を持てないんだ。」
「しかし王子、お立場をお考えくださいませ。」
第二とは言えども王子は王子。
独身でいる限り、周りは放っては置かないだろう。
現に今でも王子の妃の座を狙った貴族は沢山いるのだ。
「はぁ…。王子、三日後また国王様がパーティーを開かれます。今度こそは、と国中からよりすぐりのお嬢様方を選ばれたとか。」
「俺はパーティーには…」
「王子、お父上のお顔を汚されるおつもりですか?」
「うっ…」
アトリーの言葉に声を詰まらせる。
たしかに、各所から貴族のお嬢様方を集めてその目的の人物が顔を出さないとなれば父上の顔を汚すことになる。
「今度こそは、このアトリーが引っ張ってでもパーティーに連れていかせていただきますからね!」
ここまで言われては行かないわけには行かないのだろうが、気が乗らない。
ヘラヘラとした笑みを浮かべ、俺の機嫌を伺う貴族達の相手は疲れる。
結局皆自分の事しか考えていないのだ。
自分の都合で態度をコロッと変えてしまうことを、幼い頃からの経験でマークはよく知っていた。
「まぁまぁ、そう気を落とさないで下さいませ。今度のパーティーでは出会えるかも知れませんよ。王子の心を動かす、素敵なお姫様に。」
眉間に皺を寄せる王子に、アトリーは優しく微笑んだ。
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