アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
「お前に俺の残りの高校生活、全部やる」
高瀬くんは俺で遊ぶんだと言った。
彼になら遊ばれたって騙されたって何されたって構わない。
「だから高校が終わったら、俺達の関係は終わり。それでいいな」
それでも離れるのだけは嫌だった。
高校卒業したら高瀬くんと会えなくなるなんて、絶対に嫌だ。
俺にとってそんなのは人生が終わるのと一緒だ。
もしも、もしも俺があの日高瀬くんに告白じゃなくて、ちゃんと友達になってくださいと言えていたら。
そしたらきっと高校卒業しても彼のそばにいることを許してもらえた。
キスも抱きしめることも出来ないけど、その代わりにずっとそばにいられた。
それでも告白したことを後悔することは出来なくて、高瀬くんから貰った幸せな気持ちは友達では絶対に得られないものだった。
俺はこの時初めて、高瀬くんの気持ちを変えることに決めた。
今まで全ては彼の言うままに、彼の気持ちを何より最優先で考えてきたけど、そんな彼の気持ちを自分が変えたいと思った。
だけどそこからの高瀬くんは驚くほど俺に優しくて、いつだって俺を主体に時間を合わせてくれた。
たくさん笑ってくれて、堪らず彼を求めるとそれも受け入れてくれた。
それどころか自分を好きにしていいと言ってくれた。
俺は彼の気持ちが自分にないことを知りながら、高瀬くんが男を恋愛対象としていないことを分かっていながら、それでもどうしても彼を求めることをやめられなかった。
「…っはぁ、真島。息出来な――」
「高瀬くん…っ、大好き。大好き…っ」
赤く色づいた目元がとろりと揺れて、気怠げな瞳が俺を見上げる。
頭がカッと沸騰したみたいに熱くなって、彼を玄関先の壁に押し付けながら際限なく口付ける。
本当はせめてリビングにまで行けたらいいんだけど、高瀬くんと二人きりになるとあっという間に限界を超えてしまって我慢が出来ない。
俺の頬に伸びてきた手を取って、その指先にキスを落としながら高瀬くんを見つめる。
彼はピクリと身じろいで、どこか心ここにあらずといった表情でぼーっと俺を見上げた。
高瀬くんが俺のために取ってくれた行動は一つだって無駄にはしない。
出来ることなら高瀬くんが俺を思ってくれた感情の全てに何か返してあげたいと思うけれど、俺には彼の心の内をどうしても読むことが出来なかった。
季節はどんどん過ぎていく。
高瀬くんと付き合ってから一年が過ぎて、二回目の夏休みや文化祭が過ぎていく。
大切な時間がどんどん過ぎていって、卒業式までのタイムリミットが近づいてくる。
それと同時に俺はいよいよ受験勉強が忙しくて、高瀬くんと会う時間は日毎に減っていった。
高校までしか高瀬くんと一緒にいられないのなら正直大学なんてもうどうでもよくて、本当は今ある時間の全てを高瀬くんに使いたかった。
それでももし父親の提示した大学に受からなければ、卒業後に高瀬くんと一緒にいられることに一縷の望みもなくなってしまう。
今残り僅かな時間を大事に使うか、それともこの先高瀬くんが俺といてくれる望みに掛けて時間を削るか。
高瀬くんと時間を共にしながら大学に受かるのが一番いいけれど、残念ながら俺は生まれながらになんでも出来る天才でも、指定された場所が中途半端な勉強で受かるような大学でもなかった。
けれどもしもこの大学に合格して、さらに高瀬くんがこの先も俺と一緒にいてくれる道を取ってくれたら。
いい大学に入ることが全てでないのは分かっているけれど、それでも一流大学に入ることは間違いなく将来の可能性を大きく広げることで、彼を少しでも楽させてあげるための道が広がる。
今は学生だけど自分でお金をたくさん稼げるようになったら、その全てで彼のために尽くしたい。
何でも望むものを好きなだけ与えてあげられるようになりたい。
俺は高瀬くんとの将来に望みをかけて、ひたすら受験勉強を頑張った。
それは長く苦しくてつらい受験勉強だったけど、高瀬くんのことを思えば一度だって投げ出そうなんて思わなかった。
彼との時間を使ってまで受験勉強をしているのだから、絶対に何があっても入学してやるという意地もあった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
237 / 251