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Story4
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瑞稀と別れて電車に乗り、何駅か行ったところの高級住宅街に出る。
瑞稀が最後に来たのはいつだったか...それはもう覚えていない。
でも随分前だって言うのは分かる。
「お帰りなさいませ。コウ様」
『迎えは要らないって言ってんだろ』
「申し訳ございません。旦那様のご命令ですので」
まぁそうだろうな。俺が中学入学時から家で働いている"河合"はまだ若いのにすごく頭が良くて仕事が出来るメイドだ。
命令には絶対忠誠で特にクソ親父の命令を破ったところを生まれて一度も見ていない。
「コウ様、旦那様がお呼びです」
『ああ...』
「少し休まれましたらリビングまでと」
『分かった』
何を言われるかはもう分かっている。
鞄に朝渡され適当に入れていたテストの結果表を取り出す。
正直「またか」という感じで特に嫌だとかいうのも無い。
なんて言うか当たり前みたいな感じかもしれない。
「あっサク様!お帰りなさいませ」
後ろから飽きるほど聞いたことのある名前が聞こえた。
何故今帰ってくるのだ。タイミングが悪すぎるだろう。
「ああ。ただいま河合」
「旦那様がリビングでお待ちしております」
「あーテストあったからね。ありがとう」
そう言った奴は慣れた手つきで河合の頭を撫でるのだ。いやもう見慣れた。
「サ、サク様!」
「ふふっ照れてるの?可愛い」
「お、恐れ多いです...」
湯気が出そうな程に真っ赤になりながら河合は俯く。
こういう顔に普通の男は来るものなのか?
よく分からない。
「あれ、コウ帰ってたのか」
『...まあ』
「お前も親父に呼ばれてるだろ?一緒に行こう」
『は?行くかよ馬鹿か』
「えー?酷いなぁ」
とりあえずこいつは無視してクソ親父の所に行かなくてはどうなるか分からないため、適当に鞄を部屋に投げリビングに向かった。
________
『親父』
「ああコウか。分かっているよな?」
『ああ』
もちろん分かっている。
これから怒鳴られるのも、殴られるのも、見放させるのも。
テストがあった日のクソ親父は必ずリビングにいる。
兄の成績を評価し、俺の成績を貶すためにソファに何様かというような感じで座っている。
「...コウ。前回から今回までの勉強時間は?」
お決まりのセリフ。
ここまではいつも笑顔。あ、営業スマイルと言った方がしっくり来るかもしれない。
そして......
『してねーよ』
俺がこう言った瞬間にクソ親父は人が変わるのだ。
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