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Story18
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何故だかは分からないが、黒木はずっと上の空だった。
何かを考え込むような、何かを哀しむような目をしながら...。
『ん。ここ』
「ここかー。凄い豪邸だな」
『うちの学校じゃ普通だろ』
無駄に頭良くてボンボンの奴が多いけど真面目なやつは少ない気がする。
それも金持ちの特徴なのだろうか?
「お邪魔します」
急に教師モードに切り替えた黒木は引き締まった黒色のスーツを着ている。初めてスーツ姿を見たかもしれない。
「おかえりなさいませ。コウさ...」
奥の部屋からいつものように河合が出迎えてきたのだが、河合は黒木の顔を見ながら停止している。
今日はほんとになんなんだ。
『河合』
「っ!コ、コウ様おかえりなさいませ。お荷物お与り致します」
『ああ...それとこいつが担任のやつだからリビングまで』
「...かしこまりました」
河合は黒木に遠慮がちに近づき荷物を受け取る。
いつもの河合とはなんだか違うし、黒木も教師モードだとはいえ様子がおかしい。
「...ああ荷物ありがとうございます。メイドさん何ですか?」
「はい。ご主人様がリビングでお待ちですのでこちらから...」
「その前に、名前はなんというのです?」
この様子だともしかして河合のことを気に入ったのか?
ここに来たいと言い出したのも河合の名前をだしてからだ。
...俺には分からないな。
「何故そんな事を?」
「とても可愛らしい方だったので気になりまして」
「...河合と申します。5年ほど前からこの家で働かせて頂いております」
下の名前は言わなかった。とゆうより言いたくなさそうにしているのはいつもの事だ。
俺に初めてあった時も「河合」しか言わなかった。
「...河合さんね。担任の黒木です」
「黒木様。どうぞお入りください」
その光景だけ見届けると俺は2階の奥にある自分の部屋に向かった。
制服のままでいいかと思ったのでブレザーだけハンガーにかけて下に降りた。
鬱な気持ちになりながらリビングのドアを開けると既にクソ親父と黒木が机を挟みながらソファに座っていた。
しかももう何処と無く馴染んでないか?
「コウおかえり。黒木先生いい先生じゃないか」
いつものクソ親父と違い過ぎて吐き気がしたが部屋の隅に立っていた河合と目が合い微笑んでくれたおかげで、少し落ち着けた。
「そんな所に立っていないで隣に座りなさい」
『ああ...』
「今日は急にお邪魔してしまってすみません。今度の保護者会の事での連絡がありまして...」
黒木は元々シナリオを考えていたのかスラスラと言葉を続けていく。
それを笑顔で聞くクソ親父だが、もう俺に暴力を奮っていることは分かっているから今更いい人ぶっても無駄だ。
早く終われ...。
__________
保護者会の話はどうやら本当の事のようで珂神家は学校側にお金を積んでるから中心になってくれと頼まれたらしい。
半分聞いてなかったので曖昧だが多分そんなとこだ。
一通り話が終わったあと、少しゆっくりしていけとクソ親父が言ったので客室で俺と黒木と河合でお茶をすることになった。
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