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story23
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それからというもの、黒木は相変わらずといった感じで、俺に対しての接し方も特に変わった様子はなかった。
だが度々河合に会っている...らしい。
この間カフェで偶然2人を見かけて河合に聞いたらそう言っていた。
いや、だから何だというわけではないのだけれど。
「珂神。夏休み何処か遊びに行かない?」
『何で俺がお前と...つーか何処って何処だよ』
「だってこのまま1ヶ月と少しも会わなかったら珂神との距離また遠ざかると思うし」
確かに正直に言って少しは、ほんの少しは縮まっているように俺も思っていた。
けれども、男二人で何処に遊びに行くというのか。
「実は水族館のチケットを2枚取っておいたんだよね」
『水族館?』
「昔から好きなんだ水族館。珂神と行けたらいいなって思って取ってた」
『...まあ、いいけど』
少しくらいなら。と思った。
遊園地とか言われたら断ってやろうと思ったが水族館なら静かだし楽そうだし付き合ってやってもいいかもしれない。
黒木は「じゃあ8月12日の午前10時に駅前集合な」と言ってチケットを渡してきた。
チケットを見てみると一度だけ家族で行ったことのある所だった。
結構広さがあって設備やサービスが充実していて、最近は光を使った最先端の技術を取り入れているそうだ。
『...ふっ』
このチケットは確か1日3組限定のスペシャルランチコースが付いたチケットだ。
それはかなり入手するのは難しいはず。
そんなチケットを黒木が頑張って取っていた...そう思ったら不思議な感情に襲われてつい笑いが零れていた。
「コーちゃんっ。何笑ってるの?」
『ぅわ!?瑞希』
そうだ。今は下駄箱前で校風委員の瑞希を待っていたのだった。
そこで通りがかった黒木に声をかけられた。
『別に笑ってねぇよ』
「え〜笑ってたよ!何何チケット?」
『あ、いやこれは...』
瑞稀に見られたら絶対誰と行くのか問われるに決まってる。
それに3組限定のスペシャルランチコース付きのチケットなのだ。
絶対聞かれる。めんどくさい事は避けたい。
「わかった!彼女とデートだね?」
『は?』
「明日から夏休みだし、コーちゃん何だかんだ優しいしイケメンだから1部の女子に人気あるもんね!羨ましい!」
『いや、そうじゃ...そんな事言ったら瑞稀の方がモテてんだろ?』
「え?全然だよ?」
こいつは自覚が本気で無さそうだ。
頭が良くて人当たりが良くて優しくて背が小さめで可愛い顔立ちなんて、モテてるに決まってる。
実際この前も駅前で逆ナンされてたし。
女と間違われて男にナンパされた事もあった。
「じゃあ何のチケットー?」
『つーかチケットとは一言も言ってねぇから』
「あはは。それ以外思いつかなかった!まあいいや。その代わり僕とも今度何処か遊び行こーね」
『ああ』
それから下校途中で瑞稀とクレープ屋に寄った。
どれにしようか軽く30分は無言で悩んだが「ストロベリーチョコクリーム(アイス付き)」に決めて歩きながら食べる。
夕暮れの帰り道に食べたクレープはとても美味しかった。
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