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story29
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一旦封筒を机の上に置き、夕食を食べた。
予想通りにクソ親父は愚痴をこぼしていたが、もう慣れっこなので無視した。
風呂を済ませ、自分の部屋に戻ると、封筒が目に入る。
『今更なんだよ』
今まで散々俺のことをほっぽといて、愛もくれなかったくせに、今更なんの用があるというだ。
封筒をゆっくり開けると、中には数枚の手紙と...鍵?
飾りも何もついていないが、銅色の何かの童話に出てきそうな雰囲気の鍵。
持ち手の部分が王冠の形になっている。
『あー拝啓愛しい息子へ?気持ちわりぃ』
手紙には次のように書かれていた。
「拝啓愛しい息子へ。
突然手紙を渡されて驚いたかしら?その顔が見てみたかったわ。
今回手紙を書いたのはある事をコウに伝えておこうと思ったのよ。とっても重要な事よ。
まずひとつ言っておくわ。河合さんには気をつけなさい。
別に悪い子ではないと思うけど、仕事とはいえあれが素じゃない気がするわ。
裏があるというか...何か秘密を持っていると思うの。
だから一応隙は見せないで頂戴。いいわね?
それともう1つ。貴方の担任の黒木先生の事だけど...どこかで見た気がすると思って調べておいたのよねぇ。
そうしたら昔私が働いていた孤児院に居たらしいのよ。
それで思い出したわ、あの子の事。
だから、もしあの先生の過去が知りたいなら封筒に入れて置いた鍵を使ってある部屋に入りなさい。
場所は2階に普段誰も使わない廊下がひとつあるでしょう?あの無駄に長くて広い廊下よ。
その廊下の突き当りの壁を押すとドアが表れるから、鍵を使って入りなさい。
部屋の中に黒木渚の資料をまとめておいたから。感謝しなさいよ?
それと、この部屋は代々珂神家に受け継がれている部屋なのよ。
まあ、秘密の部屋とでも言っておこうかしら?
だから絶対誰かに入るところを見られたり、言ったりしてはダメよ。たとえそうね、河合さんでもよ。
私の話はこれで終わりよ。なにか聞きたいことがあるなら次帰った時にして。私は忙しいから貴方なんかに付き合ってる暇はないの。
これだけ協力してあげただけでも感謝してほしいくらいよ。
それだけよ。それじゃあコウ。また今度お話しましょうね。
貴方の母より」
『は?なに、が...』
手紙を読み終えての最初の言葉がそれだった。
まず河合に気をつけろとはどうゆう事だろうか?長年...少なくともこのクソな母親よりは長く居た相手で...。
信用も一応している。そんな相手を秘密があるから気をつけろ?
こいつより河合を信じていたい気持ちがはるかに強い。
まあそれは置いておいて、それより黒木だ。
『孤児院?過去?なんなんだ?』
昔あいつが孤児院で働いていたというのは聞いていた。だがあの黒木が孤児院?
全然想像出来ない。寧ろすごいいい暮らしを送っていそうに見えるし。
『あ』
そういえば、黒木は自分の素の姿が分からないと言っていた...。
もしかしてそれは孤児院にいた時になにか...?
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