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story33
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黒木からタバコの匂いがしてから数日経った。
日に日に強くなっていく匂いに、なんとなく「また吸い始めたのか?」と言えずにいる。
そして、それだけではないのだ。
黒木はよく溜息をつくようになった。暗い顔をすることも増え、明らかに前とか様子が違っていた。
『まあだからといって』
俺がどうこうしてやることはないが。
「コーちゃん。そのパフェ美味しい?なんの味だっけ?」
『え?ああ、チョコパフェのストロベリームーススペシャルがけ』
「おおっ、美味しそう!僕のは抹茶パフェのコーンがけなんだけど1口交換しない?」
『する』
放課後、いつもの様に瑞稀とスイーツ店により、パフェを食べる。
とても幸せな時間なのに、頭の中は何故かぐるぐると黒木の事を考えてしまっている。
何故だかは、自分でも分からない。
「ん〜!美味しい♪やっぱりこのお店は美味しいよね。また来たいなぁ」
『ああ』
「...なんか最近元気ないよね?大丈夫?」
『そうか?大して変わんねぇと思うけど』
口ではそう言ったものの、やはり瑞稀は案外鋭い。
余計な心配は、かけたくない。
________
次の日、そういえばこの前数学の課題が出ていないと言われたことを思い出し一応提出しに行くことにした。
提出期限は少し...結構過ぎてしまったが、まあ気にしない。いつもの事だ。
__ガラッ
『黒木?』
珍しく職員室に顔を出し、その場にいた教師達に豆鉄砲を食らったような顔をされた後、教頭に黒木は第2資料室にいると聞きわざわざ来てやった。
第2資料室なんてものがこの学校にあったのは初めて知った。てっきり第1資料室だけなのだと思っていたのだ。
「おゎっ!?か、珂神か。ノックくらいしろよ〜。驚いただろ」
『...何してんの』
「ああ、ちょっとな。この部屋には思い入れがあって」
『ふぅん...』
第2資料室の中は全体的にごちゃっとしていて、埃っぽい。ここ数年使われていない倉庫のような...。
『ケホっ、うぇ、掃除しろよ』
「前にしたんだけどこの部屋すぐ埃溜まるんだよ。まあこの空気もなかなか好きだしいいかなって」
『変わってんな...』
「それより、珂神はなんでここに?俺に会いに来たの?」
少し意地悪そうに微笑む。
俺が『そうだよ』と返すと一瞬目を見開いた後、ニコッと微笑んだ。
「そっか。どうした?最近あんまり喋れなくて寂しかったとか?」
『んなわけねぇだろ。数学の課題、出してなかったから出しに来たんだよ』
「えっ、珂神が自ら?珍しいこともあるんだなぁ。どれ?見せて」
足場を探しながら黒木に近づき、課題を手渡す。すると黒木は手馴れた様子で次々に丸をつけていき、最後に"100点!!"と書いた。
「おお、満点。やっぱり珂神はやれば出来る子だね〜」
『...前に黒木に教わったところだから簡単だった』
「ははっ、覚えが早いんだな」
黒木は本当に嬉しそうに丸が沢山書かれた紙を見ている。
だが、やはり、黒木からはタバコの匂いがした。というよりこの部屋全体が入ってきた時からきつい匂いがしている。
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