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喪失 2
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僕が子どもだと知った病院の人は、何をすればいいのか教えてくれた。
それに沿って僕は着替えを用意してバスの時間を調べた。
この時の僕は僕であって僕じゃなかったんだと思う。
何時もの僕なら、こんなに冷静でいられるはずがない。
それくらい、ショックは大きくて現実味がなかったのかもしれない。
もしかしたら、二重人格にでもなって、もう1人の僕だったのかも。
荷物を持って、バスターミナルからバスに乗ると2時間かけて病院に着いた。
バスの中でも何度かお兄ちゃん達に連絡はしたけど、繋がる事は無かった。
病院に着いてナースステーションに向かう。
病院の人が案内してくれたのは[霊安室]と書かれた部屋だった。
そこには、警察の人もいた。
お父さんとお母さんの乗った車に対向車線から居眠り運転をした車が正面衝突して、お父さんとお母さんは即死だったそうだ。
向こうの運転手は即死ではなかったものの、脳にダメージを受けて、植物状態になるだろうって。25才だったんだって。
「どうする?会うかい?」
立ったまま話を聞いていた僕に警察の人は背中を撫でてくれながら聞いた。
僕は言葉もなく頷いていた。
「無理なら今すぐでなくてもいんだよ?」
その言葉には首を横に振っていた。
警察の人に付き添われ入った部屋には中央に白い布を被せられた人が2人いた。
ゆっくりと足を進めて近づく。
右側の白い布を上げると大好きだったお母さんの顔があった。
顔には傷がなく、まるで寝てるみたいだった。
布を戻すと、今度は左側の布をめくる。
お父さんの額と頬には傷があった。
でも、お母さんと一緒で寝てるみたいだった。
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