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律兄ちゃんの家 2
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「あ、うん、さっきも話したけど、携帯弄りながら駅の階段登ってたら滑っちゃってね。」
「本当か?」
「…?なんで?本当だよ?」
「あいつ」
ドキリとして、身体がピクリと動いた。
律兄ちゃんが言う『あいつ』は愛美さんしかいない。
律兄ちゃんが愛美さん以外にも、あいつと言う人はいるのかもしれないけど、僕の前では1人しか思い浮かばなかった。
「…そうなんだな?」
「…何が?」
「あいつに、やられたんだな?」
律兄ちゃんの表情が怖いものになる。
「ち、違うよ!!本当に駅で滑って…」
ソファーから立ち上がった律兄ちゃんを慌てて止める。止めると言っても痛む両手では、どうする事も出来ないから律兄ちゃんの前から体当たりする様に身体に張り付くしかなかったけど。
「…雫。」
「…ちゃんと、ちゃんと話すから…だから。」
「わ、わかった。」
見上げて訴えた僕。顔を背けた律兄ちゃんがゆっくりと肩を押されて距離をとる。
「ぁ、ごめんなさい。」
「ぃ、いや。座って話そう。」
そこから、今日あった事を話す。
と、言っても僕の気持ちがわかってしまうような事は言えないから、僕の態度に怒った愛美さんに僕が反発して部屋へ逃げる時、滑って落ちた事にした。
嘘ではない。僕が誤って階段を踏み外したのは事実だから。
それに、愛美さんも事実は言えないだろうから、正兄ちゃんから連絡がきても誤魔化せると思った。
「愛美さんは、本当に正兄ちゃんが好きなんだよ。…好き過ぎるから兄弟でも仲のいい僕が疎ましかったんだよ。」
それも事実だと思う。正兄ちゃんが好きだからこそ、その正兄ちゃんに恋心を抱いてる僕を構う正兄ちゃんに過剰反応するんだと思う。正兄ちゃんにとっては弟を可愛がってるだけでも。
「だったら、オレも兄弟だ。」
「うん、でも、正兄ちゃんと律兄ちゃんは一緒にお風呂入ったり頭を撫でたりしたいでしょ?」
「そりゃ、しないけど。って、兄貴と一緒に風呂入ってるのか?!」
「ぇ、ぁ、たま…にね?…で、でも、正兄ちゃんは僕の事、いまだに小さい子どもだと思ってるんだよ。もう、19なのにね。」
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