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報告
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それから少しだけど話をしてから服を受け取る。やっぱり想像してたみたいに僕にも少し大きめの服。
「来年には着れるといいなー」
真剣にそう言う有紀にはノーコメントで通しておいた。
「ありがとう」
「ううん!今度ふつうにお泊り来てね!」
「…うん」
ドアを開けるときはすごく緊張したけれど、そこにはやはり誰もいなかった。
のろのろと早川先生の部屋へと向かう。
先生に、兄さんと話したことは伝えるべきなんだろうか?
それに、あの言い方だともうあの部屋へは帰らせてもらえない気がする。いつまで先生は部屋においてくれるんだろうか。
もし、あの部屋を出ていくときはどこに行こう。
有紀の元同室の人のように、退学してしまうようなことは避けたい。
そこまで思ったところで両親のことを思い出した。
どうしよう。
二人になんて説明すればいいんだろう。
二人は、幻滅すると思う。また、怒られるだろう。兄さんのように、僕はもう家族ではないというかもしれない。
怖い。
大丈夫じゃ、なくなることは。
でも、兄さんの環境が変わるのならば報告しておかないと。
時間がたつと余計に報告する勇気がなくなる。
早川先生の部屋の前まで来たところでスマホを取り出して母の連絡先を呼び出す。直接会話する勇気のない僕を許してほしい。
『お母さんへ 兄さんのことで報告があります。
この度、僕の過ちで兄さんを傷つけてしまいました。申し訳ありません。兄さんとともにいることは今後ストレスとなると思います。
この学校はすごくいいところで、みんな兄さんのサポートをしてくれます。兄さんには恋人もいます。
期待を裏切るような真似をしてごめんなさい。
僕は他の部屋に移ることになりました』
自分の意思を伝えるのはこんなにぎこちなくなるものだっただろうか。それに、相談もしていないのに部屋を移ると断言してる。
それでもこれ以上に書き方がわからない。一度固く目を閉じて、覚悟を決めて送信をおした。
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