アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
③
-
『あ、あれは……その』
「その、なんだ?」
『良いだろなんでも!! 今はそんな事ねぇんだから!!!!』
「さっき、噛み付いただろ」
「……」
なにこいつ、いつもよりしつこいんだけど。ムカつくから、絡み付いてきた触手に噛み付いてやろうかと思ったら。
「ずるい」
「……」
なんて、言いながらそっぽ向くから、思わずポカンとしてしまった。
『なにお前、拗ねてんの?』
「……悪いか」
「……」
なんだろう。噛む気が失せた。変わりに、まだむくれてる化け物の頭をぽんぽんと撫でる。
『あの時は悪かった』
改めて屋敷に来た頃を思い出す。あの辺りは周りの全部を敵だと思うことによって、自分を保ってた節はあったからな。それが余計、化け物に対しての警戒を強めてたんだろ。
正直、獣国で目が覚めた時、レオがいたって言うのは結構大きかった。これで、リオンだけだったら、トラウマも相まって化け物よりも手が付けられない状態になってた気がする。
そう考えると、異国に同族がいるっていう安心感って、思った以上に影響力持ってんだな。
「別に、謝って欲しい訳では無い」
『じゃ、なにして欲しいんだよ』
「もう二度と俺の傍からいなくなるな」
「……」
分かった。そう言えば良いんだろう。分かってる、分かってんだが。
『善処、する』
帰りたい場所がある俺にとって、嘘になるかもしれないその言葉を化け物に言うことはできなかった。
顔を伏せる俺に何かを感じ取ったのか、化け物は少しイラついたオーラを出しながらも、それを言葉にすることは無かった。変わりに、離れたくないとでも言うように、触手がぎゅうぎゅう巻きついてきた。
本人よりも触手の方が素直じゃねぇかよ。
『取り敢えず、レオやリオンには俺が筆談できるこというなよ』
「分かった」
『不審がられても嫌だから、こっちにいる間、二人きりの時以外は筆談しないからな』
「その話なのだが」
「あ?」
どの話だと思って首を傾げたら、こいつ、とんでもない事を言ってのけた。
「明日の朝、屋敷に帰るぞ」
「はぁ!?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
97 / 241