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「本当今日くるかな?」
「もしかしたら明日の朝かも」
「じゃあ来なかったら、ずっとここに居る事になんの?!」
放課後玲とロッカーの前にある教室で、待ち伏せしていた
俺の学校はロッカーが廊下に沿って配置してある
そのため誰かがロッカーに来た時にいつでも分かるように、手前の教室で待機している
椅子に座ると窓から人影が見えてしまうので、床に座って見えないように待機している
いい加減ケツも痛い
「そうなるね、俺は翔太と一緒にいれて嬉しいけど」
「はいはい」
さらっとこういう事言ってくる玲には慣れている
まさか本当に俺の事が好きだとは思ってなかったけど
「けど朝方だと明るくて見つかり易いし、先生達も早く来る可能性もあるから、夜だと思うんだよね」
「なるほどなー」
正直玲と密室に2人きりという状況も、俺にとったら十分恐怖なんだけど・・・
友達に戻ったとはいえ完璧には修復できていない
さっきから玲が距離を詰めてくる度に、びくっと体が反応してしまう
これは大丈夫なんだろうか・・
しかし待っても、待っても手紙を入れにくる奴はいなかった
「本当にくるのかな?」
時計は20時を指しており、普通なら生徒はみんな帰ってる時間だった。こんな時にお腹減ってきた・・・
「どうだろう」
なんて呑気に隣に座る俺を見てくる玲に、ため息が出る
ここまで付き合ってくれるのは嬉しいけど、異様に近い距離や射抜くようなその目線が正直鬱陶しい
暗い教室が怖くて、距離をあけられないビビりな自分に嫌気がさす
美形すぎて迫力がすごい
「あんまり見るな」
ぷいっと横を向くが、片手を掴まれて
「嫌だ、暗いしよく見えない」
と口元を上げて言われた
「そんな俺の顔が面白いかよ」
「面白いよ」
小声で耳元で喋れてこそばゆい
ニコッと笑った顔が中学生の時の玲と重なる
なんなんだ一体・・・
こんなに何でも持ってるやつが、なんで俺なんか好きなのか今でも謎だ
「そりゃあ俺が玲の顔だったら、この顔は面白いのかもな」
「どういう意味?」
「普通に玲の顔がイケメンすぎて、こんな平凡の顔見たら笑えるってことだろ」
「俺の顔って翔太から見てもイケメンなんだ」
へぇ〜初めて知りました〜みたいな様子で俺を見てくる。無自覚ってのも腹が立つな
「いや誰が見てもそう思うだろ」
「じゃあ俺の顔は好き?」
突然の好きって聞かれたことに驚く
イケメン、かっこいいから好き。なんて発想はなかったけど嫌いか?って言われたら違う
「好き?・・・うん、好き」
「・・今の録音しておけば良かったな。この顔に生まれてきて良かった」
「そんな大袈裟だな」
「大袈裟なんかじゃないよ」
完璧な笑顔をこっちに見せる玲をみて、不思議に思う
「なんで俺なんか好きなんだよ」
なにも考えてない質問だった
「そうだなー・・・全部」
「特に思いつかない時の回答じゃん」
「いっぱいあるんだけど、全部言って欲しい?」
「・・・いや、やっぱりいいや」
「照れてるところも可愛い」
その言葉にどっと疲れがくる
「別に照れてないし、可愛くない」
俺が可愛くないと言ったところで
グゥーとお腹が鳴った
「翔太お腹減ってるの?・・・確かにこんな時間だしね」
こんな状況でお腹減っている事が気恥ずかしくて、両手で口元を押さえる
「ぅう・・・・」
「じゃあこれあげる」
玲がポケットの中に手を入れて差し出してきたのは、俺の好きなミルクキャンディだった
「えっ!玲甘いのそんな好きじゃないのに何で持ってんの?!」
「クラスの人から貰ったんだ」
「あーなるほど!てか貰っていいの?」
いつ終わるか分からないこの状況で、空腹と戦っていた俺にとってそのキャンディはキラキラ輝いて見えた
「うん、いいよ」
「やったー!ありがとう!」
手のひらに2つあったのを1つ取り封を開ける
「2つともあげるよ」
「え?なんで、1つづつ一緒に食べようよ。きっとあげた人も玲に食べて欲しいと思うし」
「そうだね、じゃあ食べようかな」
口にキャンディを入れると、口いっぱいに甘さが広がり幸せな気持ちになった
きっとこの状況が更に甘さを増している気がする
「おいひ〜」
ついつい口元が緩んでしまう
「やっぱり可愛い」
隣でまた玲が俺を揶揄ってるけど、もう無視した
玲と久しぶりに長い時間会話した事と、甘いキャンディで完璧に恐怖と緊張が解けていた
シーーンとした教室に
時刻が22時になった時コツコツと足音らしい音が近づいてきた
これはもしかして・・
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