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そして数分してやっと若菜が口を開いた。
「…透が好きとか、同意の上でとか…そういう訳じゃなかったんだよね?」
「…うん」
「…透が、無理矢理和のこと襲ったって事…だよね?」
「…そうだな」
相槌を打つと若菜は「何それ…っ」くしゃっと顔を歪ませた。
みるみるうちに目に涙が溜まっていって頬を濡らしていく。
ああ…また泣かせてしまった。
「若菜…」
「…それ、いつなの?」
俯いて震えながらそう聞いてきた。
「…三人で遊ぶようになってから割とすぐ二人でカラオケ行った時。その後は一回だけ若菜が用事かなんかで来れなくなった時…かな」
ガタン、と椅子の引く音が響いて身体が前に引っ張られる。
「どうしてあの時教えてくれなかったの?!言ってくれたらわたし…っ」
そこまで言って何かに気づいて止まった。
掴まれてた腕の力がへなへなと弱まっていく
「…わたしが仲良いって紹介したから…言えなかったんだ…」
やっぱり、桃瀬を恨むよりも自分を責めてしまう。
若菜の優しいところであり…弱い所。
違う、そうじゃない、
「…なのにわたしは…何も知らないで…!能天気に遊んでた自分に腹が立つ…っ」
「若菜が悪いことなんて…」
「…ごめん、ごめんね…気付いてあげれなくてわたし…っ」
…確かに嫌だったよ、
誰にも、若菜にも言えなくて抱えて苦しんでた。
記憶から消してしまいたい、ってそう思ってたけど…
今は少しだけ違う。
ある人が…教えてくれたから
「若菜…聞いて」
俯いてる頬に触れて顔を上げさせる。
涙でぐしゃぐしゃになった顔。
「俺が若菜のそばにいれなかったのは、自分が弱さに負けたから」
一回目は別だけど、本気で拒もうと思えば拒めたし先生や警察に言えばきっと解決した。
それが出来なかったのは自分が男に犯されたってことを公表することが怖かったのと、男とのセックスに興味を持ってしまっただらしのない心のせい。
それを打ち消すことが出来たら俺は今も…
「もっと強かったらきっと別れるなんてしなかった。…怖かったのはアイツじゃなくて、まだ知らない快楽に溺れそうになってる自分」
元々俺が性生活乱れてたのを若菜は知ってる。
だからこそ不安にさせてるのもわかってた。自分に経験がないからってぎこちなくだけど、俺が飽きて他の女抱いたりしないかって不安になって頑張ってるのが可愛くて。
好きなのは若菜だよ、ってそう言ったのに。
たった二回身体を重ねただけで簡単に流されそうになる自分の弱さが怖くて、
若菜の隣で胸張っていられる自信がなかったんだ。
「若菜が好きなはずなのに流されそうになる自分の弱さに負けた。若菜は悪くない、…だから泣くな」
そう微笑んで見せると若菜は更に泣き出してしまって、周りの視線が痛い中俺は慰めるのに必死になった。
「なんで怒んないのよ…っ、お前があんな奴紹介しなきゃって思わないの?!」
「怒んねえよ…そんなこと思った事ない。…だからあの、とりあえず落ち着いて…な?」
「バカ!お人好し!!」
「……どっちが」
泣いてんのか怒ってんのかわからない若菜に
自然と笑みが零れた時、
あの過去を乗り越えれた、そんな気がした。
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