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番外編『髪の毛』
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百瀬はガサツな男かと思っていたら案外こまめに動く働き者で、綺麗好きなのか頻繁に掃除をしているようだ。
寮生活では断然俺よりも家事の能力が高く、部屋の片付けからシーツの取り換えまで嫌な顔一つせずに進んでやってくれるんだから、同室者の身としてはとても楽だ。
「百瀬がいれば快適な生活が送れるよ。実家には家政婦さんがいるって言ってたけど、必要ないんじゃねぇのか?」
「あ、いやその……実家はまあまあ散らかってるし、家政婦のタネさんがいなきゃ困るよ」
百瀬の実家は神崎程ではないが、家政婦さんを何人か雇えるくらいには裕福だ。タネさんは百瀬が生まれた時から専属で面倒を見てくれている古株で、百瀬も頭が上がらない存在なのだそうだ。
「じゃあさ、将来俺たちの家にもタネさんに来てもらおうぜ!二人で稼ぎゃあ何とかなんだろ」
「ふぇぇぇぇえええ!!さ、さとう!佐藤が俺との将来を考えてくれるだなんて、ふおおおぉぉぉ」
「やかましいわ!!」
爺さんになっても離れないって言ったのは百瀬の癖に、俺が具体的な話をすると何時も異常なほど興奮するんだから相変わらずやべーやつだと思う。
しかも秒でアソコもおっ勃てているからな。
俺は飲んでいた微炭酸飲料をほんの少しだけ残してテーブルに置くと、さっさと自分の部屋に戻って宿題をすることにした。
「……だよな。百瀬だもんな。まぁ喜んでんだからいっか」
部屋の扉を開けたあと振り向けば、そこには学園の人気者・百瀬が、美しくも男らしい顔を緩めて恍惚とした表情をさせながら、俺の残した微炭酸飲料の飲み口に舌を這わせて残りの液体を見つめている姿があった。
俺が見ていることに気がついた瞬間、期待を含んだ視線を寄越して来て、じっと逸らさずに何かを待っている。
俺はヤツの期待に応えるべく無表情で冷たく言い放った。
「キモっ」
「んっ、はぁぁあああ、佐藤、佐藤!さとう!好きだ……くぅ、あっ……はぁはぁ」
俺の蔑みの言葉を聞くと同時に既にパンパンに膨れ上がっていた股間が爆発したようで、スラックスの中でイってしまったようだ。
「百瀬……お前は着衣セックスと言うよりも、着衣射精が好きなのか?」
「ふんんぅっ、待ってくれ佐藤!興奮する」
着衣射精が性癖だなんて聞いたことねえぞとため息を吐いた俺は、再びカチカチに硬くなっているであろう百瀬のチンコにゴミ箱に捨てられた汚物を見るような目を向けたあと、ヤツが悦びの雄叫びをあげている声を無視して部屋に入った。
*
「すまねえな、百瀬。何時も悪ぃね」
今までの睡眠不足を解消するかのように、休日はお昼近くまで寝るのが当たり前の俺なのだが、今日はいつもより早く目が覚めたので目を擦りながら瞼を開けると、百瀬が部屋の掃除をしている最中だった。
「ぬはぁ!佐藤!ビックリした……も、もう目が覚めたのか?まだ寝ててもいいんだぞ」
この男前が挙動不審なのは、今更始まったことじゃないにしても驚き方が異常なので、視線を素早くめぐらせて状況判断に徹してみる。
「ただの掃除じゃあ、ねえようだな百瀬よ」
「えっ!何がかな?俺は佐藤の部屋も綺麗にしようと奉仕の精神でだなーー」
「嘘つけ!その手に隠しているものは何なのか、見せてみろよ!」
付き合ってからは俺たちの間に境界線が無くなったこともあり、お互い部屋には鍵をかけることなく自由に行き来が出来るようになっている。
だからこうやって、俺が寝ている間に百瀬が掃除をしてくれるのも当たり前の光景になっていたのだが、ヤツの不自然に握られた左手が怪しんでくれと言わんばかりに震えている。
「こ、これは……、ふぅ。仕方が無いなぁ、そこまで俺に興味を示してくれるだなんて光栄だよ」
この百瀬という男は派手なピンチに追いやられると、突然開き直る技を持っており、今も逃げ切れないと悟った途端に肩を竦めて堂々と斜め上な考えを披露しやがった。
「これはね佐藤。俺のコレクションの中でもベストスリーには入る代物でさ、こうやって集めては、父さんに貰ったヨーロッパ土産の箱に大切に保管しているんだよ」
親切丁寧な説明と共に握り締めていた掌を開きながら、その大切な代物とやらに愛おしい眼差しを送っている。
「げっ!それ、俺の髪の毛じゃん!百瀬よ……お前本当にやべーって。引くわー。今日も変わらずドン引きだわー」
「はぅっ、佐藤!はぁはぁ」
こいつは俺が寝ている間に部屋に入っては、掃除をするふりをしながら抜け落ちた俺の髪の毛を拾い、宝物として集めていたようだ。
ここまで変態臭い収集癖も、百瀬が相手だといかにもやりそうな事だと妙に納得してしまう俺がいる。
「息を荒らげてんじゃねえよバカか」
俺にバカと呼ばれて今にもイきそうな百瀬だが、この髪の毛を取り上げられるんじゃないかとビビっているのが伝わってくる。
「そんな怯えた顔すんなよな。俺が興奮してしまうだろ」
百瀬のせいでスッカリドSに目覚めた俺も、もう普通の男子高校生には戻れない確信がある。
「抜けた髪なんか大切にすんなよ。触りたきゃそう言えよ。ほらよ」
俺は自ら百瀬のそばへ寄ると、掌の髪の毛をハンカチに包んで渡してやった後、ボサボサヘアーの頭を差し出して、ヤツの色っぽいラインをした腰に腕を巻き付けてしがみついた。
「な、な、なんて最高の御褒美だろうか」
アホくさい台詞に似合わず誰が聞いても下半身が滾りそうな百瀬の声に、思わず胸が熱くなった俺は更に距離を縮めて、百瀬の逞しい胸板に顔を埋めてグリグリする。
「くんかくんか、はぁ佐藤、スーハー、スーハー」
俺の髪に長くて綺麗な指を滑り込ませ、ついでに鼻をうずめた百瀬は、相変わらずキモさを隠しもしないで匂いを嗅いでいる。
「んあっ、たまらん!佐藤の、佐藤の匂いが……ああぁぁぁっ」
今日もお約束の着衣射精で欲を吐き出した百瀬は、調子に乗ってしまったのか飽きること無く髪の毛の匂いを堪能し、羽交い締めにされた俺は動くことも出来ずに、何時間も苦行に耐えることになってしまうのであった。
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