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大概に
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「・・・大概にしとけよ」
俺は一言だけ言って、さっさともう食べ終わったパンの皿を片づける。
「ふぁーい、って、どこ行くの??」
そろそろ行くかと昨日用意していた着替えに手を伸ばすと、楽がキョトンとして尋ねる。
「ジョギング」
実際、ここまで早く起きたのはそれが目的だ。
「え?尼野クンってジョギングとかする人間?」
「元々はしてなかったけど・・・一人暮らしになってなんとなく始めたら、やらないと落ち着かなくなった」
「へぇ」
玄関で靴を履き替えて、玄関の扉に手を掛ける。
「すぐ戻ると思うけど、出るなら鍵かけろよ」
そう一声かけて家を出ると、朝の乾燥した冷たい空気が身体を襲った。寒いのは嫌いだ。
走りながら、あの日楽が座り込んでいた路地裏を通り過ぎる。
「こんな寒い中で強姦って・・・猿か」
いや、でも俺も風呂でヤッたし同類・・・いや部屋の暖房は付けてたし、シャワーも当ててた・・・セーフか?
『何にしろ、世の中屑が多いらしい』
この街は特にそうだ。警官もあてにならない。
「・・・はぁ」
俺は上がってきた息を全部吐き出して、走るペースを上げる。
乾燥した風を吸い込む喉が少し、痛かった。
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