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通話
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静夏side
ガチャリと玄関で音がした。楽が帰ってきたらしい。
「おかえり」
そう一言声を掛けると、楽は入ってきてへらりと胡散臭い笑みを浮かべた。
時刻は夜19:00。ソファに座ってパソコンを開いていた俺は、パソコンを閉じて立ち上がる。
「弁当出して、シンクに置いといてくれ」
「はいは~い、ちゃんと洗いますよ~」
楽の適当な返事を聞いて部屋に戻った俺は、もう一度パソコンを開く。
画面に表示された、楽の情報を元にまとめた生徒の情報。それぞれなんら変わったところも無く、当たり前に弱い部分がある。
全員、俺の家からは遠いところに住んでいるため、今のところは見つからない。多分。
『・・・今日だけでこの人数か』
凛の赤面した顔を思い出して、ため息が出た。口が軽いにも程がある。
バレるのは面倒だが、バレないために動くのも面倒くさい。
パソコンを閉じてベッドに寝転がると、LINEの通知が鳴った。
「なんだよ・・・」
もそもそと気だるげにiPhoneを取り出して、画面を見る。
「・・・・・」
そこには楽からのLINEが一件だけ、「ありがとう」ときていた。
弁当に対してのお礼だろうか。
「・・・・口で言えよ」
冷めた言葉とは裏腹に、笑ってしまった。
丁寧に絵文字までつけるあたりに、なんとなく腹が立つ。
どさりと枕に顔を埋めて数秒間、次は電話がかかってきて、俺はiPhoneの通話ボタンを押す。
「Hey honey、今日の夜空いてるか?』
「・・・今日はそんな気分じゃない」
それは良く見知った人物の声だ。俺は、不機嫌そうな低音で返す。
『なんだ、お前にもそんな日があるのか?』
電話越しの男は笑いながら尋ねる。
「他にやることがある・・・お前が後処理するなら考えなくもない」
俺は枕を指でトントンと叩きながら言う。
『さすが静夏くん、やっさしー!』
ふざけた口調の男は満足そうに言って、続ける。
『じゃあ、今日の11:00に俺の家に来てくれ』
「あぁ」
返事をして電話を切った俺は仰向けに寝転がり、腕で目を覆った。
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