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厄介
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りんちゃんは流石に、尻込みする。
まぁ、うん。そりゃ俺だしなぁ。
変な噂も立ってるし、実際色々してることもあるから、話す気にはならないだろう。
「まぁ、仕方ないね・・・今は無理して言わなくてもいいよ」
俺は少し悲しそうな感じで言う。
割とうまい気がする。尼野くん、ちゃんと俺の成果を見ているだろうか。
「りんちゃんが俺のこと好きって聞いた時、ちょっと嬉しかった」
ここから、俺は熱のこもった演技をはじめる。
「まだ告白されたワケじゃないけど、りんちゃんの気持ちにちゃんと答えたいとは思ってるんだよ・・・・」
こういうシーン見たことある、ドラマだったかな。
俺は自分を他人のように思いながら言う。
「だからまた、時々こうやって少し話がしたいな・・・信頼できるようになったら、さっきの相談内容の答え、おしえてね」
相変わらず赤い顔で複雑な表情を浮かべるりんちゃんに、俺は畳みかける。
「俺、そうやって好きって言われたことって少なくて、自分がりんちゃんのこと好きかどうかわからないんだけど」
俺はついこの間言った様な、この言葉を使う。今回は演技だけど。
尼野くんのこと、未だに好きかどうかわからないけど・・・尼野くんは、今でも俺の事好きなのかな。
「真っ直ぐで人懐こい君なら、好きになっても幸せになれそうだね」
俺はにっこりと笑って、りんちゃんの頭を撫でる。
期待したようなその目が切なげだ。
そろそろ、この辺だろうか。
俺は薬の瓶を空けて、口に含む。
「ん!!?ふっ・・・!!んぐっ」
それから、口移しでりんちゃんに無理やり飲ませる。
「げほっごほっ・・ぅ・・ぁ・・・・」
意識が遠のいていくりんちゃんに向かって、俺は笑った。
「恋って、なんだか厄介だね」
俺の父親や母親も、恋に振り回されてあんな結果になったんだろうか。「お前さえいなければ」と言いながら、俺に母親を重ねて縋り、甘えていた父親を思い出して、俺は思わず口角を上げる。
「俺も恋をしたら、あの人みたいになっちゃうのかな」
俺はりんちゃんの頭を撫でながら、尼野くんに報告をした。
「りんちゃん眠ったよ、今から運ぶね」
尼野くんは静かな声で答えた。
『あぁ、わかった』
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