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会ってる
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静夏side
俺は朝食の目玉焼きを焼きながら、チラリとソファに寝転がる楽に目を移す。
正直、昨夜はバレたのかと思った。
楽があまりにも適切なタイミングで通り魔について尋ねてきたからだ。
『ただ、死ぬ前には会いたいんだ』
楽の言葉を思い出して、俺は楽から目を逸らす。相変わらず感情の読めない笑顔で言った楽からは、何故か、今にも消えてしまいそうな印象を受けた。
『もう、会ってるんだよな』
俺は口に出さないで、目玉焼きを皿に移す。
俺に会ってどうしたいかは、わからないと言っていた。けど、通り魔に会いたいなんて、俺には死にたいと言っているようにしか聞こえなかった。
『もし、楽に殺してくれと頼まれたら・・・俺はどうするんだろう』
断る?逃げる・・・?
そんなこと、その時にならないとわからない。
「朝食、できたぞ」
「んぁ~」
テキトーな返事をする楽を、俺は足で軽く蹴る。
「起きろ」
「ん~」
コイツは最高に寝起きが悪い。
俺が起きてキッチンで調理をはじめると、リビングまでついてきて二度寝するのだ。
「食べない」
「・・・・もう作った」
今頃言う楽に、俺はため息を吐く。
「・・・・・・・・・・・・食べるぅ」
渋々顔を上げた楽は俺の腰にしがみついて起き上がり、テーブルの席に着いた。
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