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噛んで
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べこべこに噛み潰されたパックジュースのストロー、散乱しているガムの包装紙。
我がクラスの上代和希《かみしろかずき》は今日も機嫌が悪そうだ。
「あーあ、またあんなに噛み散らかして。よくあんなにストローべこべこに出来るよね、なんなの欲求不満なの?」
「あんなに噛む人も珍しいよね……」
昼休みのおやつタイム、チョコを頬張りながら友人である九重太一《ここのえたいち》が不満げに横目で上代をにらみながら呟く。
その言葉に思わず苦笑を返した、確かに上代は異常なほど噛み癖が酷い。
噂では彼女にもその癖を発揮して別れを告げられたとか、何しろ不憫である。
「明《はる》はなんか寛容だよね、俺はダメなんだよなぁあーいう癖がある人」
「まぁ寛容って言うかなんて言うか……」
「?」
「いや、なんでもない……」
俺にもそういう欲求があるから、とは言い出せないだろう。
何時からかは分からないが俺には特殊な欲求がある。それは、噛まれたい、という欲求だ。いや、ほんとに自分は変態なんじゃないだろうかと何度も疑った。実際その欲求がはっきりした頃にはむしろ受け入れている。
他人が何かにーー例えばおにぎりとかパンとかーーそういうものに噛みついて食べているのを見るとぞくぞくと背筋が震える。
ああそのパンになりたい、とか俺を噛んで!とか思ってしまうわけで。
うん、変態だ……。
自分で欲求を解消しようと腕を甘噛みしたこともある、しかし……。
まったくと言っていいほど効果がなかった。というか不快にさえ感じてしまった。
それ以来自分を噛むことは無くなったものの未だに欲求は消えず、むしろ募るばかり。
そんな時に出会ったのが、噛み癖で有名な上代和希。まだ話した事は無いものの同じクラスになってから視線は何時も上代の方ばかり向いてしまい、それが無意識だからタチが悪い。
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