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感情
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は、と目を覚ますと時計は7時を指していた。
なんか、夢を見ていた気がする……。なんだったかは思い出せないけど。
全身に汗をかいていて、そんなに暑くもないのに、まだ、春なのに、と少し不思議だった。
シャワーを浴びている時にふと、夢の中の情景が脳裏に流れた。泣いてたな…、どうしてだろう。それがなんだか気になって。シャワーを浴びたらすぐに着替えて家を出た。
ピーンポーン、と平凡な音がなる。
米崎さんは、いた。
目元がなんか少し腫れぼったい。服の袖も何やら湿っている。
こりゃ泣いたな、と見た瞬間に悟った。
じゃああの夢は知らない間に泣いてる声が聞こえてそのまま夢に出てきたってこと?
ううん、と頭を抱えてると
「…どうしたの、こんな時間に。」
なんて、泣いていたことをさもなかったように普通に俺に接する。
「家、少し入れてもらえます?」
それだけ聞いて、答えも聞かずに上がる俺。
駄目って言ってもあがるんだろー、と少し苦笑ぎみの米崎さんの声がする。
「米崎さん、泣いてたんですか」
聞き方わからないし、オブラートに包んで、とかよく言われるけどオブラートって何、美味しいの?って感じしかしない。頑張ってるんだけどなぁ………、
米崎さんは少し眉をハの字にして微笑んで見せた。
「泣いてないよ」
「嘘ですよね」
「泣いてないって」
「嘘ですって」
「泣いてないよ」
「嘘だ」
そんなやりとりが約20回くらい続いてしびれを切らしたのか
「……桐谷くんには、関係ない」
米崎さんはポツリと、けどはっきりそう言って、ばつが悪そうな顔をしてそっぽを向いた。
それは明らかなる拒絶だった。
お前には関係ない、前にも誰かに言われた。
誰だっけ、とこんな時に冷静になって考えても言った本人の顔がぼやぁっとして思い出せない。
まあそんくらいの仲だったってこと、かな…なんか引っかかるものがあるけど。
「あ、そう…ですか」
俺は相手の顔を見ないでそう零して出て言った。
悲しい、それが俺の勝手な感情。
米崎さんは、別に悪くないのに。
悪いのは、勝手に聞いた俺なのに。
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