アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お泊まりします?
-
「え、今何時…」
あれから俺が泣いて疲れてたのか寝落ちして、起きたらベッドの上にいてしかも18時で。雛…じゃない、千歳帰ったのかなと起き上がるとベッドに少し寄りかかって座ったまま寝ていた。
俺をわざわざベッドに乗せるなんて…女子がいたらみんな千歳の前で寝だすだろうな、と思った。
雛川は顔はまあ良くて成績もまあ良くて運動できて…たまにKYなところもあるけど優しくて…こんな人、何で俺のこと好きなんだろう、と寝顔を見ながらふと思う。俺には、何もない。
顔だって悪くはないけど大してよくはないし、可愛くもないし、頭も普通で運動音痴で…、絶望しそうだからやめよう…うん。
しっかし…まつ毛長いなぁ…。
羽ばたきそうなまつ毛ってこういうことをいうんだよね、きっと。
「…あの、湖太郎くん?そんなに見られてると起きられないんですがね。」
寝ていたその人の口が遠慮がちに動く。
え、起きてたの!?
「起きてたなら言ってよ…」
千歳くん、ガン見してしまったじゃんかいな。
「今起きた、とか言ってみる。……で、もうこんな時間か」
「泊まってく?」
「んーや、帰ろうかな。」
千歳はぐっと伸びをして眠たそう。
…帰るのか。なんか、それもそれで寂しいような…凛子がくるかもしれない、けど、千歳にいて欲しいような…けどこれって我儘だよなぁ。
それこそ、生殺し。
「あー、ごめんやっぱ泊まるわ。今日姉ちゃんが彼氏連れてくる日だったかも」
なんて千歳が俺を見てからすまなさそうに笑って言う。
千歳は、嘘をつくのが、下手だ、と思う。
彼に、まず姉はいない。
いないのだから、彼氏もいるはずがない。
百歩譲ってお姉さんがいたとして。彼氏連れてくる日っつても家自体に帰らないのはややおかしい。
…そう嘘だと分かっていながらも、いつも、甘えてしまうのはきっと千歳が甘やかせ上手だから。
いつか、恩返しできたらいいな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 48