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「空!おまたせ」
朝、9時ちょうどに少し前までは毎日見ていた滝沢3の運転する黒いボックスカーに乗った海が現れた
律とは離れたくないし、家には帰らなきゃいけないしで朝起きるのがすごく億劫だった
夜は緊張なのか不安なのか寝付きが悪くてとても眠たい
でも、律が早起きをして朝ごはんを作った、と言うから飛び起きた
律は普段全然料理をしないから
料理は僕、片付けは律の担当だったのだ
パンとベーコンエッグ、サラダとヨーグルトとフルーツ
ありきたりで簡単なものだったけれど、家にいた頃お客様が来た時に母さんが振舞っていた豪勢なものより何倍も美味しく感じた
「全然、久しぶりだね海」
海の肌は相変わらず白くて陶器のようにつるんとしていた
夏って言葉がこれほど似合わない人は海くらいじゃないだろうか
「少し焼けたね、空」
「そう?まあ海よりは黒くなったと思うけどね」
「母さんたちが肌が焼けるってのは火傷と同じだからって、全然外出して貰えなかった
空は大丈夫?痛くない?」
「ん、これくらいなら全然
ほら、あんまり長いこと外に居たら怒られちゃうから
早く帰ろう
滝沢さん、よろしくお願いします」
「お久しぶりです、空様
それでは出発いたします」
滝沢さんの完璧な安全運転で30分程で懐かしいあの家が見えてきた
周りの家よりも大きいあの家
高めのコンクリートの塀に覆われて、仰々しい雰囲気が僕は好きになれなかった
________ああ、帰ってきてしまった
寮に入って、律と一緒に暮らして、付き合って
あの日々がもう遠く感じてきた
こんなんじゃあと何日も耐えられない
しっかり、しないと…
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