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「単刀直入にお伺い致しますが、空様は律様とどういったご関係ですか?」
「ただの、ともだち…です」
「どういった経緯で仲良くなったのか聞いても?」
「律は入学する前から入寮していて、僕も同時期に寮に入ったんです
それで寮の部屋が、隣だったので」
僕が部屋を代わったことは教師陣と一部の生徒しか知らないことだ
これで、完璧に筋が通っているはず
「私たちは、短い期間ですがそれなりにしっかりと律様を見てきたつもりです
全員律様を慕っておりますし
律様は確かに空様に気を許しているように見えました、つい最近までは」
明らかに纏っている空気が変わって、やっと本題に入ろうとしているんだということが分かった
「私は代々執事の家の者なので人間観察の目は優れていると自負しております
その上で申し上げますと、空様は律様のことが恋愛的な意味で好き、ですよね」
なんで、分かるの
必死に隠してるんだから気づかないふりをしてくれてもいいのに
「そして律様も最近までは空様のことが好きだった、でも今は律様の目は貴方の兄である海様に向いている
違いますか?」
「…っ」
「あ!ちょっと!」
僕は逃げ出した
分かっていたはずなのに
他人の口から改めて聞くと、より一層虚しい
もう頭が痛い
そういえば昨日熱が出たんだっけ
部屋に戻ってから熱測ってない
今も熱があるのかな、喉がカラカラに乾いてもう走れそうにない
「はぁ、は…ぁ」
走っていた足を止めて近くの壁に寄りかかった
むき出しのコンクリートの壁は冷たくて気持ちよかった
「もう、いっか…」
真面目に授業を受けても、どうせ僕は律や海のようにいい成績は取れないし
教室に行っても居場所がない上に何をされるかわからない
今日くらいサボっちゃっても、いいか
荷物が全て教室にあることも忘れて、その足で寮まで戻った
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