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風邪をひく7
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遥「ん…」
目を覚ますとそこは真っ暗だった。
何も見えなくて光も存在しない。どこまでも続く闇の中。
遥「…どこ?」
自然と呼吸が荒くなる。
その場に立ち上がりそこから1歩前に踏み出した瞬間暗闇はヒビを作り割れていく。
そして見えたのは雪の中のお墓。
その周りにいるのは知っている人たち。
シンに瞬さん麗やイクとタカくん。
要に俊樹に柊に…。他にも見知った顔がそこにはあった。みんなはひとつのお墓の前で傘をさし下を向く。
深海「…なんで」
最前列にいたシンが口を開く。
1人だけ傘をさしていなくて肩や頭に雪が積もる。
そしてあげた顔は涙を流していた。
遥「ッッ」
深海「なんで何も言わずに1人でいっちゃうのかね~遥は…。俺たちは家族じゃねぇ~のか?」
その青の瞳は涙に濡れ,その顔は弱々しく笑っていた。その笑は決していつもの笑ではなく悔しさや後悔があった。
深海「俺たちはそんなに信用出来なかったのか遥…。家族になれたと思ってたのは俺たちだけなのかよッッ」
麗「シンさん…俺達が今何を言おうが…もう無駄っすよ…遥はもう…」
瞬「麗,それ以上何も言うな…」
あぁここは僕が死んだ世界なんだ。
郁人「…俺らってさ,ハルの何だったんだろう」
次に聞こえた声はイクのもの。
隆彦「何言ってんだよイク」
郁人「友達…だったのかな?」
俊樹「他に何があるんだ」
郁人「…何も知らなかった」
僕は何も伝えれていない。
いや伝えるつもりは無いんだ。
柊「友達なら相談に乗れたのに…助ける努力をしたのに!!なんで…なんで何も言ってくれねぇのかなー遥ちゃんはさ…」
途中からボロボロと涙を流しその場に胡座で座り込む柊は目を閉じ下を向き笑う。閉じた目からは止まることのない涙。
遥「…はぁ,はぁ」
荒くなる息。
胸が締め付けられる。
要「…遥かだから。あいつはそういう奴だっただろ。大切な人には迷惑をかけたくないと自己完結をして1人で無茶やる馬鹿なんだよ…」
郁人「…俺らがこのことを聞いたら悲しむって自分のことを助けようとして無茶をするってお見通しなんだよ…」
隆彦「もっと理解しろよ…。お前に死なれるより俺らは無茶をしてぇ」
優しい言葉に涙が流れる。
ボロボロと止まることのない涙は下へと落ちる。
俊樹「遥は強い奴だ。ずっと抱えることがどれだけ辛かったか…。遥を責めるのは筋違いも甚だしい。気づいてやれなかった俺たちの方が酷い人間だ」
違う…違うんだ。
僕は弱いから…何にも執着できなくて家族が出来ても迷惑をかけたくなくて…。好きな人に好きだと伝えるのが…この関係を崩すのが怖くて…。
だから病気のせいにして逃げているだけなんだよ。
死ぬことは悲しくないんだ。
大切なものが増えれば増えるほど僕は苦しくなる…。
また1人がやってくることへの恐怖に僕は耐えられなくて…みんなから逃げるんだ。
遥「…はぁはぁ,ごめ…ん,はぁはぁ,ね」
その場に倒れ込み意識を手放す。
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