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sideアサ: 僕の、気持ちは。
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「はぁぁ………」
夜
みんなが寝静まってから1人テントを出て、寝転がって空を見上げた
(現実世界じゃ、こんな綺麗な星空見れないよね…)
やっぱりここは仮想空間で、ゲームの中で
早く 早くここから現実に帰らないといけない……のに。
(僕は、このままで良いんだろうか………)
ギルドのみんなには言ってないけど、僕は何やらこの世界の事をよく知ってるみたいで。
(自分がTM好きで良かったなんて思ったの、初めてだ。)
あの廃人レベルでやり込んでた時の知識が活かせるなんて、有り難いに越した事ない
(早くレベルを上げて、次のIDに行きたい。)
でも、今のギルドの方針だとそれは無理
それなら…もういっその事、このギルドを抜ける……?
(っ、でも、それだと1人になる…、)
こんな広い世界に1人なんて……絶対無理だ。
万が一何かあった時、助けてくれる人が居ないんじゃ確実に死んでしまう
(死ぬのは、いやだ……っ、)
知り合いなんて、ギルドのみんな以外は1人もいない
フレンドリストは0人。
そんなんで、これからどう生き延びていくの?
『俺たちじゃなくても誰かがクリアしてくれるって!』
確かに、その通りなのかもしれない。
(でも…本当にそんな他人任せで……僕たちは何もしなくていいの?)
クリアされるのを、ずっと待ってるだけで本当にいい?
一体、どうすれば………
「ーーーっ、ぁ、」
ぐるぐる モヤモヤと見上げた先
空に浮かんでる、生き残っているユーザーの数を表している数字が
静かに、減った
「ーーーーーっ!!」
(僕は、何を考えてるんだろう。)
今もこんな真夜中に、こうして現実に戻る為戦っている人たちがいる
そうして死んでいった人たちが…いる
それなのに。
(僕は、何を立ち止まってるんだろう?)
〝死ぬのが怖い〟
それは、きっとみんな同じ……〝僕たち〟だけじゃない。
決して、〝僕〟だけじゃないはずだ。
(それなのに、こうして今に甘んじて生活して…モンスターなんて食料になる奴しか倒してない。)
あんなどこでもいる普通のサーベルタイガー1匹、怖がって戦うことをしてない
挑戦する事を…〝冒険〟する事を、していない。
(MMOの醍醐味は、何だ?)
大勢の人と、一緒に遊べる事だ。
(RPGの醍醐味は、何だ?)
この広い世界を、冒険できる事だ。
それじゃぁ、MMO RPGの醍醐味は……?
「大勢の人と一緒に、この広い世界を冒険できること…」
(嗚呼。僕…馬鹿だなぁ。)
自分がどうしてMMOを始めたのか…
FPSじゃなくRPGを選んだのか……忘れてしまっていた。
「そっか、そうだよ。」
どうして1人でTTを始めたの?
まだ見ぬ誰かに…これから出会う色んな人たちに、会う為だったでしょう?
会って色んな冒険を共にして、色んなIDへ行ってどんどん強くなって、このゲームを…この世界を楽しむ為だったでしょう?
今回は、何かの手違いでその仮想空間が現実のものとなってしまった〝だけ〟だ。
ーーーそれなのに、何を立ち止まっている?
空に浮かぶユーザー数を睨みながら、ガバッと起き上がる
(そうだ、僕は。)
ーーーーー僕、は。
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