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どれくらい…時間が経ったんだろう?
「アサ!そっち向いたぞ!!」
「はいっ!」
暴れ回るナギロスに立ち向かって
避けては攻撃して避けては攻撃してを、繰り返して
(はぁ……っ、固い…)
ヨルさんがいないだけでこんなに敵のHPの減りが遅いなんて思わなかった
今、何分なんだろう?
後何分残ってる?
敵の目盛りは残すところ後23%
もうすぐ、20%のバリアがやってくるーーー
「くっ…!!」
飛んでくる長い爪を避けて、タンッと後ろに飛ぶ
(これ、後3%削っていいの……?)
このまま攻撃して20%のバリアが発動したとして、3人で壊せる?
80%や60%の時とは比べものにならないくらいの強度…そんなだんだん固くなっているバリアを…3人でなんてーーー
「アサくん!攻撃の手が緩んでいるぞ!!」
「は、はぃ!」
(っ、悩んでいる暇はない!)
時間は刻一刻と迫っていて、どの道攻撃の手を緩めてもタイムオーバーで全滅してしまう
アルガさんは前に進むことを選んで全力で攻撃している
チカもアルガさんに合わせて立ち向かっている
(僕も、弱気になってないでいかなきゃ!)
キョウちゃんとヨルさんが戻ってくる気配は、まだ無い
2人とも部屋の隅にいるからその姿を見るのも難しくて
チラリと時計を確認すると、残り時間は10分を切って一桁台に達していた
「ーーーっ、!」
(ひと…けた台……!!)
ーーーもう時間がない。
それなのに、僕たちはまだ20%のバリアすら乗り切れていない。
「ひ……っ! ぅ、うぉぉおぉぉ!」
最悪の事態にビクリと体が震えたけど、何とか気力で押し付ける
そのまま、隙をついて大きく接近し回し蹴りを強く放った
そして敵が微かによろめいて浮いた足元に罠を張り、パッと逃げるように間を開ける
ドカンッ!
キィィイィィ!!
大きな足が罠を踏み、爆発してナギロスの動きが止まった
「アサナイス!」
チカが重い鎧で思いっきり飛び上がり、急所あたりを鋭い槍でひと突きする
アルガさんの斧もブゥ…ン!と風を切って痛いところを攻撃して
(2人ともナイス!これで、多分20%を切るはず!!)
もう割れるか割れないかじゃない。
ーーー割るんだ、僕たちで。
「来い!!」
大きく叫んだ瞬間
パキリ…とナギロスの周りにバリアが出現した
「割れぇぇぇ!!!!」
アルガさんのひときわ大きな声
それに背中を押され、ありったけの力を矢に込める
「っ!くそ…!!」
でも、攻撃しても攻撃しても…ヒビ一つ入らなくて
(なんで、どうして……っ!)
もう時間が無いのに
このバリアを壊せなかったら、もっと最悪の事態になるのに
それなのに、どうしてーーー
「っ、いやだ!」
(絶対絶対、諦めない!!)
…なんだか
この世界に閉じ込められて、僕たくさんの事を学んだ気がする。
1番初めのギルドとさよならして1人になる、勇気と
心から信頼できる仲間を作ることの、大切さと
(りんごさんやみかんさんからは、〝楽しむ事〟を教えて貰ったなぁ。)
どんな時でも、何が起こっても、楽しむこと。
「自分が楽しまなきゃここに来た意味がない」と、自由が大好きな2人は教えてくれた
(トマリちゃんからは、〝友だち〟かな。)
リアルではゲイだとバレるのが怖くて、浅く広く友人を作ってた。中学の時みたいに孤立したくなくて、人の顔色ばかり見てる高校生活。
でも、顔色とか遠慮とかそんなもの全部超えて、トマリちゃんは僕を見てくれて
(女の子とでも友だちになれるんだって、初めて教えてくれたなぁ。)
これが終わったら、僕がゲイって事言ってみようかな。
トマリちゃんには…何となく、知ってて欲しい
というか、嘘をつきたくないと思う。
(嗚呼、会いたいや。)
りんごさんやみかんさんに、トマリちゃんに、秀麗さんに、外で待ってるコアチームの皆んなに。
(会いたい…なぁ……っ、)
涙で霞んで来た視界を、グイッと拭う
1年前の僕が今の僕を見たら、きっとびっくりするんじゃないかな?
それくらいに…僕は成長できただろうか?
「あぁあぁぁ!!」
(負けたくない。)
こんな世界に、こんな敵に
ーーー負けたくない。
(負けたく、な、!)
シュン…!と、目の前を黒い影が猛スピードで通り過ぎた
それは本当に真っ黒で……まるで夜の帳の様に、漆黒で
ガシャンッ!!
「チィッ、やっぱ固いな…!」
「っ、お前、!」
「悪りぃみんな!!遅れた!!」
後から来た白い服がヒラリと舞って、体を暖かい光で包んでくれる
「ぁ……キョウ、ちゃ、」
「アサ頑張ったな。さんきゅ!」
ニヤリと笑いかけてくれるびっくりするくらい綺麗な顔
そして、
「待たせた!こっから全力で行くぞ!!」
双剣をバリアに突き立てる、真っ黒い背中
「………っ、はい!!」
(ヨル、さん……!!)
目覚めて、くれた。
あぁ……諦めなくて…良かった。
「ふ、ぅぇ……っ、!」
(ここからだ!!)
漸く5人揃った
もう後は、全力で攻めるだけ。
ーーー怖いものは、なにもない。
「「「うおぉおぉぉ!!」」」
再び武器に力を込めて
目の前のバリアめがけて一斉に攻撃を放った
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