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早乙女伊澄という男 8
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「ねぇ、なんでこんな所で寝てたの?」
早乙女は何故かワクワクした様子で、俺の座っている隣の椅子に腰掛けた。そしてそのまま俺を見つめて話し続ける。
「今って授業中でしょ?それにジャージって事は体育?」
「まぁ……はい…」
早乙女の問いかけに渋々答える。だってこの足なら走って逃げることは出来ないし、誰かを呼ぼうにも授業中なら誰もいない。
このまま早乙女と話し続けるのは、正直しんどい…、この場をどう乗り切るか…!
何も抵抗しない俺を不思議そうに見てくる。
「……なんですか」
早乙女を横目で見ながら、誰もいない正面の席を向いて言った。
「あ〜、いや、間違ってたらあれなんだけど…」
やけに勿体ぶる言い方に、なぜか不安になってくる。
「なんですか、早く言ってください」
早乙女の方を向き眉間にしわを寄せる。
「………もしかして、足怪我してない?」
早乙女の言った言葉に驚く。
「………何言ってるんですか、そんな訳無いです」
「そうかな?」
早乙女が椅子から降りて、俺の前でしゃがむ。そしてまず俺の左足首を触る。だが、そっちは怪我してない方の足だ。
「………こっちじゃないか」
早乙女が呟く。
そして早乙女の手は俺の右足首を触った。
「痛っ!」
なるべく小さく言った俺の言葉は、早乙女にも届いた様で早乙女が起き上がって俺を見る。
その表情はとても心配そうな顔だった。
「君、足捻挫してるでしょ。なんで保健室行かなかったの」
早乙女の言葉が少し俺を責めている様に聞こえる。
……どうして捻挫してるってバレたんだろう…
「………行ったんですけど」
「けど?何?」
早乙女がどんどん俺を責めるように感じた。そのせいか、俺は俯いて声がどんどん小さくなっていく。
「……保健室、閉まってて……」
「閉まってる?…あぁ、もしかして職員室に行ってないの?」
「……え…?」
俯いていた顔を上げ、立っている早乙女を見上げる。
「え?って、だから保健室閉まってたなら、職員室に行って開けてもらえばよかったじゃん」
早乙女の言った言葉に俺は目を丸くした。
「そ、そんな事出来るんですか!?」
「出来るってなにも、職員室には学校の教室とか部屋とかの鍵全部あるんだから、職員室に行って先生に頼んだら大体の場所は開けてもらえるよ?」
早乙女はキョトンとした顔で俺を見て、首を傾げる。
「えっと、じゃあ職員室に行けばいいんですね…」
俺が椅子から立ち上がろうとするとそれを早乙女が止める。
「待って!その状態で職員室まで行くの?職員室の場所分かってる?」
何で、こんなに慌ててるんだ?もしかして、俺が職員室の場所知らないと思ってるのか!?
「職員室くらいわかりますけど」
少しムッとした顔で早乙女を見る。
「場所は分かってるのが当然だけど、その足じゃ無理だよ。職員室はここの反対方向にあるんだから」
呆れた顔で俺を見る早乙女に、更にムッときてしまう。
「これくらい大丈夫です!」
勢い良く立ち上がったその瞬間に、早乙女が俺を抱き寄せた。
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