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斜陽 *
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0. 斜陽
身を引き裂かれるような激しい痛みは、今まで味わったことがなかった。
手首は帯で一纏めにされ、少しでも動くと皮膚に食い込んで痕を残していく。
痛みに意識を手離しそうになるものの、陰の向こうで小さく光る存在が気がかりで、必死に意識を繋げる。
薄暗い倉庫にうっすらと夕焼け色の光が一筋射し込んでいて、空気に舞い上がる埃がきらきらと反射していた。
黄昏の煌めきには目もくれず、光の当たらない暗闇に人の体が溶け込む。
ひとつの影は何かを手にその場でじっと佇んでいる。
影が何をしているのかも分からず、砂が散らばる床に背中から倒されたまま薄い肩は強く押さえつけられて、身動き一つとることすら困難にされていた。
視界の端にもうひとりが映る。それは、自分の腕を押さえつけて抵抗も自由も奪っている存在だった。
細い足の間にもうひとりの体が強引に押し入っていて、足を大きく開かせるように抱えたまま、規則的に腰を前後に動かし続けている。
動く度に、その反動で硬い床に腰が摩られて痛みと熱を持った。上から覆い被さるように押さえ込まれているのに、腰を強く打ち付けられて苦痛が増していく。覆い被さる自分よりも大きな体と、硬い床の間に挟まれて呼吸すらまともにできなかった。
ずっ、ずっ、と体の中に熱が割って入る度に、鈍い痛みを感じて悲鳴をあげてしまう。
しかし、口の中に強引に銜えこまされるように入れられた布と、腰を打ちつけながら布ごと口元を覆って押さえつける手によって、悲鳴が音として外に出ることは一度もなかった。くぐもった小さな声だけが布の中に吸い込まれていく。
鈍い痛みと呼吸を圧迫していく苦しさ。
顔のすぐ近くで荒い呼吸と、何かを擦る音と共にぬちゅ、にちゅ、という濡れた音が耳をかすめる。
薄い闇の中で行われる行為は、恐怖心と絶望を与えるには十分過ぎるものだった。
自分の足の間で、何度も何度も腰を振りながら、はあっ、はぁっ、と獣のように乱れた息遣いを繰り返し響かせてくる。
ぬめりを帯びた感覚が首を這っていくのを感じた。同時に、興奮しきって濡れた吐息が首筋に降りかけられて、逃げるように身を捩りたくなるが叶わない。少しでも身じろげば、覆い被さる男と腕を掴む男が反応し、より体を密着させてきて、拘束する力を強められてしまう。
瞳を開けているのも億劫で、すべてを拒絶するように瞼をぎゅっと閉じた。
目尻から幾度目となる涙の道が作られる。腰を動かし続けながらも、流れ伝うそれを分厚い舌でねっとりと舐め上げてくる。
全身が舌の感触を拒絶し、不快感に震えた。舐めながら不規則に荒くなった呼吸をしてくるせいで、湿った息に纏わりつかれるようだった。
骨ばった腰をがっしりと掴まれ、逃げないように濡れた欲望を押し付けられる。ぱんぱんぱん、と肉がぶつかる音を立てる。伝わってくる振動が自分の呼吸も不規則にさせた。
ふと、密着するように覆い被さっていた体の圧力が少しだけ消える感覚があった。それでも、拘束は解かれず、繰り返し与えられる痛みに抵抗する体力も気力も根こそぎ奪われていた。
上から聞こえる呼吸はどんどん荒くなり、呼吸の間に男の低い呻き声が混ざり始めた。自分の体の中に押し入る腰を動かす速度は激しさを増していく。
体を動かそうとすると、途端に周囲の影から手が伸びてきて元通りに押さえつけられてしまう。
う、う、うぅ、と呻くような男の声が小さく聞こえると同時に、腰を掴んでいる手の力が強くなった。指が皮膚に食い込んで肌に陰影を落とす。
痛みを与えられ過ぎた下半身が麻痺したような感覚に包まれて、そこに意識を集中させていたら、突然、顔から首にかけてどろりとした粘性の高い液体が流れてきて思わず目を開けてしまった。
視界に飛び込んできたそれは、暗闇の中でも分かるほど濡れていて、赤黒く光っている。先端から断続的に噴き出す白濁が頬に塗り付けられて、体が強張った。ぴったりと肌に密着させるように動かされ、頬に擦りつけられる度にぬちゅぬちゅと音が鳴った。粘着質な感触が怖くて、辛うじて自由な顔だけを背ける。
頭はなにも理解を示さなかった。
起こった現実に何も考えられず、ただ小さな拒絶の反応を見せるだけしかできなかった。
首まで伝っていく白濁の液を感じて、瞳の輪郭が涙でぼんやりと揺らぐ。
呆然としていると、腰を動かし続けていた影に体をぎゅう、と強く抱きかかえられた。胸が圧迫されて、呼吸ができなくなる。
密着してきた耳元で、湿った吐息と共にあ、ぁあ、と意味をなさない声を漏らした。次いでうっ、うっ、と言いながら乱暴に腰を振りたくってくる。
体内に挿入されているものが、容易には抜けそうにないと思わせるほどまでに大きく膨らんでいるのが分かった。
ずぶ、と最奥に腰を強く打ち付けてきたと思ったら、そのままの体勢で僅かに体を痙攣させた。体を力いっぱいに抱きしめられているせいで、男の体がびくびくと震えるのが肌を介してはっきりと伝わってくる。
どく、どく、と中に埋められた熱が脈動していた。体の奥で濡れた感覚がじんわりと広がっていくのを自覚する。耳元は湿り気を帯びた吐息が掠め、低い呻き声が聞こえる。深く息を吸い、吐いてと繰り返しながら、最後まで中に出し切ろうと影は再びゆるゆるとした緩慢な動きで抽送を始めた。腰を揺らす動きと同時に、体の奥で僅かにぬちゃぬちゃと粘ついた水音が響き、白い液体が足の間を伝い落ちていった。
ずるう、とゆっくり体の内側から白濁色の液体が絡みついた熱を引き抜かれ、耳を塞ぎたくなる音が響く。体の至る所に残された、濁った液体が肌を伝う感触が生々しくて、気持ち悪かった。
閉じられた瞳からは絶えず涙が零れ出る。
直視したくないという気持ちからか、強く閉じた瞼が細かく痙攣していた。
そうしてから、ようやく体にかかっていた圧力からも解放されて、一気に力が抜けてしまう。手首に巻かれた拘束は解かれなかったものの、腕を掴んでいた影も散っていた。
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