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----side七海『三学期』
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「あっという間だったよなー、冬休み」
「冬期講習でほとんど学校来てたから休んだ気しねーわ。七海と違ってホント勉強詰めだたったし」
「…は?俺も勉強してたけど」
「へー?」
「ふーん?」
クラスメイト二人の冷ややかな視線を感じる。
なんでそんな目で見られなくちゃいけないんだ。
俺だってめちゃくちゃみーちゃんとエッチしたいの我慢してチョーゼツ受験勉強頑張ったのに。
冬休みが終わって今日から三学期が始まる。
これから始業式で、全然久しぶりな気がしないクラスメイトと話しながら体育館に向かう。
「いいよなー、彼女いる奴は。合宿から帰ってきてソッコーヤれるもんなー」
「いやーでもさすがに場所は考えないとなー。まさか男子トイレなんかでヤる奴はいねーよなぁ」
「あっ、バレてた?」
「やっぱお前かよっ!」
綺麗に声がハモった二人に両側からバシッと後頭部を叩かれた。
あの時は確かにちょっと調子乗った感はあるけど、めちゃくちゃ気持ち良かったからしょうがない。
みーちゃんも身体は大喜びだったし。
「なになに、なんの話ー?もーななみん冬休み中に会えなくて寂しかったよぉー」
「マジで?嬉しーな。超頑張って勉強してた」
「もうすぐセンター試験だもんね。いよいよって感じだよねえ」
数人の女子も入ってきてみんなでワイワイと体育館へ向かう。
冬休み中は本気で勉強づくめだったし、やっぱり友達と話すと学校が始まったって気がする。
とは言っても受験が始まったら学校にはもうほとんど来ないし、俺が高校でみーちゃんと過ごすのもあと少しなんだと思うとちょっぴり寂しい。
それに俺がいなくなったあともみーちゃんは学校にいるのかと思うと、変な奴に狙われないか心配だ。
いっそカミヤンに護衛頼んでおくか。
それかみーちゃん教頭先生と仲良かったからそっちのほうがいいか。
「なーに全く似合わない難しい顔してんの?」
「お姫様守る方法考えてんの」
「えー、なにそれっ。ななみん彼女作っちゃやだー。これから誰を目の保養にして生きていけばいいのー?」
腕を取られてイヤイヤと言ってくれる友人にニッコリ笑って「ごめんね」と返す。
拗ねるように文句を言われながら体育館に入ると、なんだかざわざわと騒がしかった。
みんな久しぶりの学校だから賑やかになるのは分かるけど、なんだかこの感じは少し違うような。
そういえば去年真島先輩がいた時と少し似ている。
まるで街中でアイドルを見つけた時みたいに、女子の目がキラキラ興奮したように輝いてる。
と思ったら俺の腕に縋り付いて文句を言ってた女子もするっと腕を解いた。
それから同じように目をキラキラさせ始める。
「――えー、うっそ。誰あれ。超イケメンなんだけど」
「え?」
そう言って指を差した方向へ視線を向ける。
心臓がバクリと跳ねた。
「うわー、やばすぎでしょっ。新しい先生?目の保養見つけたー」
あっという間にきゃいきゃい喜び始めた女子の腕をハッとしてガシッと掴む。
「いやいや、ちょっと待って。絶対駄目。あれは絶対駄目だからっ」
「えー、ななみん何いきなり焦ってんの。ひょっとして嫉妬ー?」
「そーじゃなくって…」
あれ俺のだし。
あっという間に盛り上がり始めた周りに焦りつつ、壇上脇に立って生徒を見回している眼鏡の無くなった美人さんに目を向ける。
すぐに俺と目が合うと、一度目を見開いてからムスッとした顔に変わる。
あ、誤解された。
慌てて女子の腕を離してからみーちゃんを見たけど、もう知らんぷりで俺に目を合わせてくれない。
隣にいるカミヤンが姫を守る騎士みたいにやたら目を光らせているのがなんかムカつく。
やっぱカミヤンに護衛役お願いするのはやめよう。
それよりこの盛り上がってる女子をなんとかしないと、俺とみーちゃんの学校でラブラブエッチ計画が大変なことになる。
「つかアレ紺野先生だから。みんなが恐れるオニ眼鏡センセーだから誤解しないよーに」
「えーっ、うっそ!超イケ眼鏡じゃんっ」
「うん、まあもう眼鏡じゃないけど」
それにしてもなんでいきなりコンタクトに変える気になったんだ。
俺が卒業したあとが余計に心配になった。
ざわざわしたまま始業式が始まる。
いつもだったらみーちゃんが「静かにしろ」って絶対怒鳴ってるのに、今日に限ってはそれもない。
かと思ってたら三学期における生徒指導の話で出てきた先生はみーちゃんじゃなかった。
いつもだったら眼鏡クイってしながら高校生とは清く正しくー、って校長先生より長い話が始まるのに。
教師の事情は俺には分からないけど、何かあったんだろうか。
考えてみればみーちゃんは自分のことを全然話してくれない。
俺がたくさん質問してもちゃんと答えてくれるのはほんの少しだ。
体育館脇で大人しくしているみーちゃんはイライラしてるみたいだけど、眼鏡がないから美人さんのお澄まし顔だ。
右見ても左見てもみんなみーちゃんをチラチラ気にしている。
自分の中でカーッと何かわきあがってくる。
今すぐ全員にみーちゃんは俺のだから、って言って回りたい酷い独占欲に俺は悩まされていた。
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