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仕事を終え帰宅しながら七海と連絡を取り、二人で閉店間際のスーパーに寄る。
嬉しそうにカートを押して歩く七海のリクエストを聞いてやりながら、店内を歩く。
「なんか新婚さんみたいですね。俺のお嫁さん誰よりも可愛いです」
「…な、何を言っている。お前と俺が歩いていたってせいぜい兄弟くらいにしか見えないだろう」
「えー、チューもエッチも中出しも済ましてる恋人なのに?」
「な、なか…っ」
ドカッと顔に熱が上がる。
どうしてコイツはこう恥ずかしいことを簡単に言ってのけるんだ。
俺はコイツの一回りも長く生きているつもりだが、俺が発したことのない単語を恐ろしいほどに言ってみせる。
七海はクスリと笑って俺の顔を覗き込んだ。
「あれ、意識しちゃいました?タコさんみたいになってます」
そう言って楽しそうに俺の頬を人差し指でつついてくる。
非常にからかわれている気がして悔しいが、意識せずにはいられない。
触れられる度に熱が上がっていくのが分かる。
買い物を終え、二人で自宅へと戻る。
まさか帰ってきた瞬間になにかされるのでは――と危惧したが、そんなこともなくキッチンへ二人で向かう。
七海が手伝ってくれるというので、結城ほどではないが料理に関してはからっきし駄目な七海に教えてやりながら晩飯を作る。
高校生じゃ出来ないのも仕方ないが、コイツは一人暮らしのようなものだし多少は覚えたほうが良い。
「みーちゃんって料理上手さんですよね」
「そんなことはない。お前に食わせるようになったから少し調べるようになっただけだ」
「そーなんですか?俺のためよりみーちゃんほっそいから、もっといっぱい食べてほしんですけど」
「この歳になるとお前の歳の頃のようにそう多くは食べられない」
若者の食べる姿というのは関心させられるものがある。
パクパクとおかわりしながら食べる七海を見るのはいつも心が緩む。
「でも途中で意識飛ばされたら困るんで、ちゃんと食べてくださいね」
「…うん?」
なんか非常に聞き捨てならないセリフを言われた気がする。
食事を終えると、食器を洗うという七海に今日は座っていてくれと声を掛ける。
せっかく受験を終えたところなんだ。
今日くらい何もせずにゆっくりしていて欲しい。
だが七海はニッコリ笑って口を開く。
「大丈夫ですよ、元気ですから。今日は朝まで起きてられます」
「…うん?」
やはり不審過ぎる言葉に身体がギクリとする。
洗い物をする七海の隣で食器を拭いていたが、視線が合ってギクリとする。
心臓がバクバクと動き始め、どうしても意識せずにはいられない事柄を思い浮かべ自分の体が強張りだす。
「みーちゃんお風呂入りますか?疲れてますよね」
「ふ…風呂っ!?あー、ああ。そうだな。風呂は大事だ」
自分でもひっくり返るような声が上がって驚くが、逃げるように風呂場へと走っていく。
心臓がもう爆発しそうだ。
風呂から出たらするのか。
全然手をだしてこないが、そういうつもりなのか。
風呂から出ると七海はソファに座って楽しそうにお笑い番組を見て笑っていた。
俺が来たことに気付くと、ちょいちょいと手招きをする。
「な、なんだっ。何をするつもりだっ」
「え?そんなところにずっと立ってるからどーしたのかなって」
「へっ?あ、ああいや…」
そう言って七海は俺のタオルを取ると、自分の前に座らせる。
まさかここでするのか、と混乱しかけたが、どうやら代わりに髪を拭いてくれるらしい。
「みーちゃんいい匂いします」
「…っ、ふ、風呂に入ったんだから当たり前だ」
七海の言葉の一つ一つにもう意識をしてしょうがない。
いつその手が身体に伸ばされるのか、いつ唇を奪われるのか。
「んー?なんかまだ緊張してます?身体ガチガチになってますけど。俺の受験結果そんなに心配ですか」
「そっ、そんなことはないっ。お、お前のことは信じてるし…っ」
そう言ったら七海が嬉しそうに後ろから抱きしめてきた。
ハッとして呼吸を止める。
ついにするのか。
このままいつものように俺を犯すのか。
と、思ったら七海は俺の身体を離す。
「俺も風呂入ってきますね。今日はみーちゃんち泊まりますから」
「――っ」
もう声が出ずコクコクと頷く。
そうか、風呂から出たらするつもりなんだろう。
緊張と心臓のバクバクとで頭が真っ白になっていく。
しばらくの後カチャリと音がして七海が風呂から出たのが分かった。
もう頭をぐるぐるさせながらどこで待っているべきかと右往左往してしまう。
そうこうしているうちに七海がリビングへ戻ってくる足音が聞こえ始める。
キイ、とリビングの扉が開いた。
「なんでそんな部屋の隅っこにいるんですか」
「――へっ?」
逃げようとしていたわけではないが、どこにいたらいいのか分からず部屋の隅っこまできてしまった。
だがそれより上半身裸で首にタオルを掛けて出てきた七海にドカッと熱が上がる。
「ふ、服を着ろっ。こ、公然わいせつ罪だっ」
「何言ってるんですか。家の中ですよ」
部屋の隅っこまできた七海が座り込んでいる俺を上から不思議そうに見下ろす。
「ほら、一緒にソファ座りましょ」
伸ばされた手を見つめてしまう。
頭が混乱して、身体が強ばる。
「す、するのかっ」
「え?」
「お、おお俺を犯すつもりなんだろう。だ、だが待てっ、い、今は心臓が…っ」
大混乱しながら必死に言葉を紡ぐと、七海が目をまん丸にする。
かと思ったら腹を抱えて笑い出した。
なぜ笑う。
「あー、なるほど。ずっと意識してくれてたんですね」
「…だ、だってお前が…っ」
「もちろんするし、犯しますよ」
そう言って七海は俺の視線に合わせるようにしゃがみ込む。
バクリと心臓が跳ねて、顔に熱が昇る。
「でもこうやって何かを終えた後に人に出迎えてもらえることってなかったんで、ちょっと感動してました」
「…あ」
そう言われてハッとする。
きっと高校受験の時も物凄く頑張ったが、家で一人だったんだろう。
それだけじゃない。
ずっと、ずっと自分が甘えたい時に七海の側に誰もいなかった。
「だから、みーちゃん。今日はありがとうございました」
本当に嬉しそうにお礼を言われて、心がじわりと熱くなる。
ゆるりと首を振って七海を見つめた。
「…いや。俺の方こそそこまで言ってもらえるような大したことは出来なかった。本当は家で帰りを待ってやれるのが一番良かったが…」
「いえ、大丈夫です。これからもっとして貰いますから」
「――え?」
そう言って七海は俺の身体を抱き上げた。
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