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観覧車を降りる。
七海が俺の手を引き、急くように無言で歩く。
気持ちを伝えられたはいいが、ものすごくタイミングが悪かったような気がする。
七海は何も言わないし、グイグイと手を引っ張られる。
だがその手は酷く熱くて、さっきまで冷たかったのが嘘のようだ。
「…な、七海。帰るのか」
「はい。帰ります。早く触りたい」
キッパリとした返事が返ってきた。
もしかしたら余計なことを言ってしまったのではないかと心配になってしまったが、この調子ではそういうわけではないようだ。
それに後ろから見える七海の耳が驚くほど真っ赤に染まっている。
帰り道での七海は今までに見たこともないほど大人しくて、俺の手を握りしめたままほとんど喋らなかった。
俺も口数の多い方ではないから、七海が喋らないと本当に無言になってしまう。
それでも気まずさなど気にしている余裕はなく、熱に浮かされたような視線がひたすらに俺を捉えていて、心臓が休まる暇がなかった。
帰宅すると玄関先の扉に押し付けられて、すぐに唇を奪われた。
俺ももうその頃には意識しすぎて頭の芯がグズグズに緩んでしまっていて、待ち望んでいたようにキスを受け入れる。
唇を重ねて互いの舌を絡ませる度に、全身に痺れるような甘い快感が駆け巡る。
七海の首に手を回して、もっと欲しいと仕草で強請ってしまう。
「――好きです。…っ好きだ」
余裕なく噛みつかれるような口付けからは、いつものように人の反応を見て茶化してくる余裕などどこにもなかった。
頭が真っ白になったように求められて、まるで食べられてしまいそうだった。
俺の衣服を乱しながら首筋に歯を立てられ、痛みに身体を震わせる。
それでも気遣うことなく身体を弄られ、露わになった肌から餌でも見つけたように乳首にしゃぶりつかれる。
「――ッあ」
甘い声を上げればぐいぐいと酷く硬くなった勃起を押し付けられる。
ただ、本能のままに求められている。
荒い息遣いから七海が興奮しきっていることが伝わってきて、どうしようもなく愛しく思えてしまう。
「あ…ッ、あ、ひ――っ」
ろくに慣らされないまま、七海のモノが俺の中へ入り込んでくる。
痛みに顔を歪ませたが、七海は俺を離さなかった。
そう、その日七海は酷く下手くそな抱き方をした。
俺を煽るような言葉もなく、ただ初めて性行為をするようなひたすらに自分勝手で身勝手な抱き方。
痛みも感じればキスをすれば歯も当たる。
余裕など少しも感じられず、頭がただ真っ白になっていた。
高校生とは思えないほど上手で、恐ろしいほどに俺を翻弄させてきた七海とは思えなかった。
それでも今までで一番気持ちが伝わってきて、俺と同じようにその気持ちに余裕など無いんだと、七海のちゃんとした気持ちを知ることが出来た。
とはいえ七海に開発されてしまっている身体は、そんな状況でもしっかりと快感を拾い始めてしまうのだが。
「――っはぁ、みーちゃん、みーちゃん…ッ」
「あっ…あ、あっ、んっ」
硬い床の感触を感じながら、組み敷かれるように七海に抱かれる。
せっかく家に帰ってきたのに、寝室にも連れて行って貰えない。
容赦なく腰を打ち付けられきつく舌を吸い上げられて、凄まじい快感にあっけなく熱を吐き出してしまう。
ビクビクと痙攣する内壁に、七海もドクリと俺の中で達したのが分かった。
「――っあ」
が、一度達したら少しは落ち着くのかと思いきや、頭に血が昇ったままらしい。
再びがっつくように腰を動かされて、堪らず七海の背に爪を立てる。
「あっ、ま、待てっ。ちょっと落ち着け…っ」
「え…?あ」
本当に我を失っていたという様子で、ハッとしたように七海が俺を見下ろした。
「すいません。完全に頭に血が上ってました」
「…し、知っている」
抱き潰されそうになりながらなんとかそう答えると、不意に七海が泣きそうな顔をする。
かと思ったらコツンと額を合わせられた。
「…本当に両思い、なんですよね」
ぽつりと落ちてきた言葉。
確かめるように近い位置で瞳を覗き込まれる。
きっと七海はずっと、もうずっとその時を待っていたんだろう。
今までどれほどの人に恋をしてきたのかは知らないし、知りたくもない。
どれほどの人に俺と同じように好きだとその言葉を紡いできたのかは考えたくもない。
それでもその中で七海が一番欲しかった言葉をあげた人は、きっと俺だけだ。
「そうだ。…お前の運命の人は、俺だ」
ドロドロに溶かされた脳内が勝手に言葉を紡ぐ。
そう伝えたら、胸が苦しくなるほどに震える。
目頭が熱くなり、また涙が溢れ出してしまう。
頬に滑り落ちていく涙が自分のものだけではないのだと知った時、再び七海に唇を奪われた。
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