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「いより君、こんにちは」
「!?ぁああっ、和子ちゃんだっ!こんにちはっ」
それは珠嘉の許嫁だった和子で、和子はちょこちょこ近寄ってきたいよりに優しく微笑んだ後…隣にいる男を訝しげに見る
その視線に男は気まずそうに目をそらし、一歩後ずさる
「僕今から松重屋ってお店に行くんだーでも道がわかんないから困ってたけどこのおじさんが知ってるから案内してくれるって!和子ちゃんも一緒に行こうよっ、あっちの道近道だって!」
和子とは珠嘉がいなくなった日の夜にあって以来だけど、珠嘉のことを知った和子はひどく動揺していたしいよりもまともに話せる状態じゃなかったので話せたのは久しぶりだ
「……ぁあ、あそこのお蕎麦は絶品ですものね」
「えっ、あっ、はい!」
和子に話を振られた男は動揺しながらもこくこくと頷いたけど、いよりはこてんと首を傾げた後…ふるふると首を横にふる
「ちがうちがうー和菓子屋さんだって…あっ…ぇえっ!?」
男が走って何処かへ行ってしまった
男は地図を持ったままだったのでいよりは慌てて追いかけようとしたけど和子に肩を掴んで止められた
「そこの餡子は絶品ですよね、一緒に行きましょう」
「…え?…あっ…うんっ!やった!」
車のドアが開いて、いよりはさっきの男のことなんて忘れて笑顔で和子の隣に乗り込んだ
いよりの顔には珠嘉の面影があり…まだ癒えぬ愛しい人への想いにチクリと胸が痛んだ、けどあの日自分と同じように苦しんでいたいよりが笑顔を浮かべていて和子は安堵した。
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