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side 山口廉
「廉おはよ」
「おはよう〜」
ジメジメ雨が降りそうな厚い雲を眺めながら歩いていると後からニッコリ笑顔で声をかけてくる奏
朝から爽やかだなお前は
「なんで奏って爽やかなの」
「…ん〜…俺だから」
「は?」
うっわぁ……今めっちゃイラッとしたわ
流し目でドヤ顔で見下ろされるの腹立つ〜しかも顔が良いから余計腹立つ〜
しかもめっちゃ暑いし梅雨なんて大嫌い
学校へ着き、湿気で膨らんだ髪の毛を撫でつけながら教室へ入るとなにやら人だかり
「え、なに朝から〜蒸し暑〜」
「…お、あれは…白田じゃん」
「え」
白田という単語に弾かれるように人だかりの中心を見ると、周りより少し高い位置に見える黒髪
教室の中を見回してるっぽい華夜くん
パチリ
と、音がして目が合った気がした
「ぁ、」
サッと目を逸らす
なんで逸らしたか分からないけど、逸らさないといけない気がした
「廉!」
よく通る声で名前を呼ばれる
もちろん皆俺の名前を知っているから大勢の視線が一斉に俺に向く
「ぁ…なに…?」
ぐらりと歪む視界にふらつく足元
何回目だろう
責められてるわけじゃないから、大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせるように深呼吸を繰り返す
「廉?…廉こっちこい」
返事をする前に急に手首を掴まれる。
教室を出る前に振り返って見た華夜くんの目はとても冷たかった……ような気がした
教室を出ると何も言わずにズカズカと俺の腕を引っ張って歩き続ける奏
「ねぇ、奏、どこ行くの」
「保健室」
「えぇ?なんで」
「お前ぶっ倒れそうだった」
「大丈夫だよ」
「は?今すぐ姫抱きして連れてってもいいんだぞ」
ぐるんと振り返り睨んでえげつない事を言ってくる奏
姫抱き……危ないな…想像して寒気がする
丁重にお断りしておきたい
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