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第1章
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どうしようもない。
頭も、足も、手も、どうしようもなく、熱い。
特に、
御船に掴まれている手首が、
どうしようもなく…特別にあつい。
廊下をただただ歩いている、その心の方は、後悔の念に、こんなに沈んでいるのに。
ーーーわかっている。
………これは、自業自得だ。
教室内であんな醜態を晒したのも、公衆の面前で御船に、妙な"言いがかり"を、付けられたのも。
全部自業自得だ。
ーーーあの日、あの雨の日に。
保健室なんか行かなければ。
ーーーあの日、おれがあんな、
…あんな事を言わなければ…。
こんなことにはーーー。
ーーー……。
こんなことには?
そこまで考えて、フッと思考を止める。
足はまだ、動き続けているけれど、
思考は一時停めたまま、前を歩く御船の姿をみやる。
程よく広い背中。程よく締まった腕。
速すぎず、遅すぎず歩を進める足。
ーーーそうだろうか?
……本当に、おれは………。
「着いたぜ、保健室。」
ガラガラと音が、廊下に響く。
御船は振り返り、七瀬を見つめた。
ダークブラウンの髪の間から、
悪戯ゴコロを含んだ目が七瀬の心を刺す。
ーーーおれは…、
「さあ、入れよ。」
ーーーこの状況を、
「誰もいないぜ?」
ーーー想定出来なかったのか?
「"あの日"みたいに…。」
御船が更に口角を上げて、掴んでいた七瀬の手首を引き寄せた。
七瀬の足が保健室の冷たい床を踏む。
ーーーこうなる事を。
「……どうした?七瀬。辛気臭いカオをして。」
御船がニヤリと、笑いながら、
後ろ手に、保健室の鍵をかける。
鼓動が速まって行く。
「おれは……。」
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